57-2

「アレン、この後は公園に行きませんか?」


「公園?」


プリンを食べ合っているとミーシェルがそんなことを言ってきた。ミーシェルは俺が公園について知らないのかと思い話を続ける。


「ええ、市民の憩いの場として造られた花園で私たちが管理しているのでとても綺麗に作られているのでデートスポットとしても有名なんですよ。」


なるほど、完全管理の公園か。維持費に金はかかるがある種の観光スポットとしても中々良い物だろう。つくづく何故潰れたのかが気になる公爵家だな。


「じゃあ行ってみるか。」


「はい。」


「じゃあ最後の一口だ。あ~ん。」


「ありがとうございます。」


最後の一口をとても嬉しそう上品に頬張るミーシェルは元公爵令嬢なだけあってとても綺麗な食べ方をしていた。


「それでは行きましょうか。」


「ああ、勘定してくるわ。」


「え、そんな悪いですよ。」


「俺はあんまり使うことがないから大丈夫さ。」


「でも。」


「じゃあキスしてくれる代金ってことで。」


チュッとフレンチ・キス


なんだこのギザ男、くさい、草過ぎる。


「なんのあのカップル今まで一番羨ましい状況を堪能してるじゃないの。」


「ちょっと男がギザ過ぎるけど、羨ましい。」


周りの外野の声が聞こえてきたのかミーシェルは顔を真っ赤にしている。


「もう、代金はそれだけじゃ足りませんよ。」


「え?◎△$♪×¥●&%#?!」


ミーシェルは舌を這わすようにアレンの歯茎を舐めたりアレンの舌の根本を絡みつかせ極上の快楽を運ぶかと思えば、小鳥がついばむようにした唇を挟み込み舌先をペロッと舐めることで現実に引き戻したかと思えば今度は吸い付くように唾を飲み込み始め代わりと言っては何だがこちらに唾を送ってくる。そして唾が足りないのかと思ったのか舌の裏にある柔らかい部分マッサージするように優しく舌で揉み込み唾が出ると再び吸い付き飲み込む。それを5セット行ってきた。


ディープなキスがアレン100ヒット


思わぬカウンターキスにアレンは慌てふためく。


「「「キャーーーーーー!!!!」」」


歓声が広がる。だがアレンは生まれたての小鹿のようにプルプルと震わせながら立っているのがやっとだ。むしろアレンはよく頑張ったと言えるだろう。心はチェリーのままなのだから。初めての結婚した者とのデートそれだけでも中々に緊張している。そこからの不意打ちを受けたのだ。例えるなら試合のゴングがまだ始まってないのに急に殴られたボクサーのような気分である。誰でも準備ができていないのに殴られればそれはダウンするだろう。


「「「私も彼氏にやられてみたい」」」


そっちかよ!

と心の中でツッコミをすることでなんとか平静を取り戻した。


「お客様、ラブコメおひとつありがとうございました。会計ラブコメ分引きまして銅貨3枚となります。」


「おい店員それでいいのかよ。」


「ええ、もちろんですとも。」


しかしそれで赤字になられては領主としてのプライドがなく。

ならばと


「釣りは要らねえ取っときな。赤字になるだろうが。」


銀貨1枚をとりあえずぶん投げておいた。


「「「ありがとうございました。またのご来店を。」」」


何故か店員に見送られながら店を去っていった。


「じゃあ公園に行くか。」


「はい、アナタ。」


そして公園に足を向けていく。互いに顔を真っ赤にしながら。

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