第136話 竜の子供たち

「これをその。子供2人だけで……」

積み上げたワイルドボア10体の山を見て村長が言葉を失ってしまった。

「うん、そうだよ。簡単だったねエルンスト」

「うん、イングリッドと一緒にえいえいばしんってしたら終わった」


僕たちは村で1泊し馬車で帝国に変える道すがら

「よっぽどまで大丈夫だと思っていたけれど、同じ年ごろの僕やミーアよりよほど強いね」

僕がそっと囁くと、ミーアも首を縦にふった。

「これが竜の祝福の力なのかしらね」

「でも、まだこれからだね」

僕達自身の過去を思い、子供たちの未来を想う。


 屋敷に帰りつくとすぐにグラハム伯の訪問があった。

「よう、おかえり。15年ぶりの故郷は満喫できたか」

そこには僕達を気遣う思いやりがあった。

「ええ、一部無粋な輩もいましたが、今の僕達に手出しの出来る人間は聖国にはいません。問題はありませんでした。いい旅でしたよ」

僕の言い回しで何があったのかを察したのだろう苦笑するグラハム伯。

「とりあえず冤罪は晴れたのだろう」

「ええ、もちろんです」

「なら、これから訪れることも出来る。重く考えることもなかろうさ」

「そうですね。それでも僕はもう帝国貴族です。当然ですが、そちらを優先しますよ」

グラハム伯が相好を崩す。

「当たり前だ」

「それとですね、少々思うところがありまして、落ち着いたら深層の奥をミーアと2人で探索しようと思っています」

「はは、またドラゴンでも狩ってくるつもりか」

「ドラゴンとは限りませんが、気になることがありましてね」

「おいおい、まさかまたどっかで神獣でも見つけて祝福を手にしようってんじゃないだろうな」

グラハム伯が冗談半分に僕に言うけれど、あながち間違いでもないので否定しにくい。

「祝福目的ではないですが、ここのところ少し気になることがいくつかありまして」

「気になることだあ。なんだ、それは」

「すみません、僕たちでもモヤっとした感触なので説明もしにくいのですが。うまくすれば僕達の戦力アップにつながるかもしれないものです」

僕の言葉を聞くと、グラハム伯は呆れたように

「更に上を目指すか」

「上を目指すというよりは僕とミーアの能力を十全に使えるようにする感じですね」

「ふむ、しかし、また無茶するつもりじゃないだろうな」

「多少は……。それでも必要なことだと思っています」


第2章(完)


本当はここまでで3章のはずでした。【2章(完)】を入れ忘れたので今更今既に3章ですっていえない小心者の作者が頑張って妥協案としてここまでで2章にしました。

次回からは【第3章(終章予定)】となります






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