第131話 聖騎士団長と

「お久しぶりです。フェリーペさん」

「ご無沙汰しております。グリフィン侯爵。グリフィン侯爵夫人」

「さすがに慣れましたけど、できればフェイとミーアでお願いしたいです」

「ふふふ、相変わらずですね。14年ぶりですか」

「ええ、あの時は助かりました」

「いえいえ、私としても無駄な血は流したくありませんでしたからね」

「僕たちも聖騎士団と剣を交えるのは抵抗があったので助かりました」

「それこそこちらこそ結果として私は聖騎士団を守ったことになったと確信しています」

貴族派を殲滅したことをさしているのだろうけれど、さすがにこれには僕も反応に困り渋い顔をするしかなかった。

「そんな顔をしなくても。あなた方がむやみに手を下す方々でないのは分かっていますよ」

にこやかに話すフェリーペさんの隣に居心地悪そうに座っているのは

「パトリックさんも、お元気そうで」

僕が声を掛けると、なおさらに渋い顔をしながらも

「あの時は失礼いたしました。あの後騎士団でも自らの未熟を思い知り初心に戻り鍛え直しました」

あの時も才能は感じられたので、鍛えなおすきっかけになれたのなら嬉しい限りだ。そう思っていると横からフェリーペさんが口を挟んできた。

「おかげで、今では聖騎士団でも1,2を争うようになりましたよ。このことでもフェイウェル殿とミーア殿には感謝してもしきれません」

「糧にしてもらえたのなら何よりうれしく思います」

僕も笑顔で応える。

「それにしてもあなた方の偉業を知るに、あの時の自分の視野の狭さを思い知りました」

「僕たちとて成り行きですよ」

ふとラーハルトの面影が心をよぎり言葉を紡ぐことができなくなった。今の幸せを噛みしめながら、ラーハルトとこの幸せを共にしたかったとの想いが言葉をとどめてしまう。

「どうかされましたか」

フェリーペさんの言葉に我にかえり。

「い、いえ。なんでもありません」

そうごまかすのが精いっぱいだった。

「あ、フェイウェル殿、もしよろしければ1手お願いできませんでしょうか」

そんな僕にパトリックさんが思いついたように言ってきたけれど、僕は少しばかり迷ってしまう。今の僕達は対人戦をするには問題が多すぎる。特に竜の祝福を得てからこちら手加減の程度が掴めないでいるのが大きい。なので

「申し訳ないけれど、今の僕達は立会いが出来ないんです。それでも受けることは出来ますし、型を見せることはできます。それで我慢してもらえませんか」

「それは、私が未熟すぎるという事でしょうか」

パトリックさんが詰め寄ってくる。僕は小さく溜息をついて

「分かりました。命のスペアくらいはあるんでしょうね」

と投げやりに声を掛けた。

「え、そんなすごいことになってしまうのですか」

そう返してくるパトリックさんに僕もちょっと大人げないことを言ったなと思ったので。

「先に見てもらいたいものがあります。その上でまだご希望であればお相手いたしましょう」

そしてフェリーペさんに頼み場所を移すことにした。





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中高生の甘酸っぱい初恋を……

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