第2章〜遠藤刹那の日常〜
第5話必需品は走るゴキさん
どうもはじめまして、こんにちは。
早乙女家嫡男、早乙女藤二郎様の専属メイド、遠藤刹那と申します。
歳は15。高校1年生にございます。
突然ですが、私の主人である藤二郎様は完璧な方です。しかもイケメン。
勉学の面では学年主席。しかもイケメン。運動の面では陸上部員を追い越し、堂々の1位。しかもイケメン。
人脈も広く、会って話したことがある人は大抵覚えております。しかもイケメン。
女性には紳士的に接し、男性にもフォローを欠かさない。しかもイケメン。
誰にでも優しく接し、時には叱咤し周りをまとめる好青年。しかもイケメン。
マジで二次元から出てきたんじゃねぇかと思うほど、完璧な人間なのです。しかもイケメン。
私は藤二郎様と過ごしてまだ3年ほどですが、このお方の優しき面にはもう涙が出そうになるほど感動いたしまして。しかもイケメン。
ここまで真っ直ぐに育つ人間がいるのかと。えぇ。しかもイケメンだし。
出会ったばかりの頃は疑ってばかりだったんですよ。
【
そしてふと、思ったのです。
この人、どんな時に怒るのだろう、と。
だって、気になるじゃないですか。普段怒らない人が怒る姿って。
私は思い立ったら即行動するタイプでしたので、早速やりました。やりましたよ。えぇ。
藤二郎様の部屋に、走るゴキさんのおもちゃを仕掛けたんです。
使用人として、有り得ない行為だとは思いましたよ?
ですが。
人間、好奇心には勝てぬものです。
特に、この時私はまだ中学1年生。
しかも元からイタズラ大好きっ子…。
結果。
当時まだ高校3年生の優弥さんに叱られました。
藤二郎様は怒らなかったけど、なんか私にデメリットが多い気がするからやめよう、と遅いながらも気づいたんですよ。
気づいたんですけども!!
まさかの先輩である千紗さんからのOK。
そして、最初のイタズラの翌日。
「おはよう。今日は何も無いの?」
という、藤二郎様からのOKを貰った私は高校1年生の今に至るまで3年間。
ずっとささやかなイタズラを仕掛け続けたのであります。これからも続ける予定ですが。
今では屋敷の方々もすっかり見慣れたのか、私と、加担した千紗さんが怒られるのを微笑ましく見てらっしゃいます。
今となっては、私の必需品に【走るゴキさん】が定着しました。
いらない様に見えますが、結構役立ちますよ?
壁にも付けられるように、粘着テープが付いているので、電車で痴漢野郎にこっそりくっつけたり。(そしてそのゴキさんに気づいたフリをして悲鳴をあげる)
道端でナンパしてる野郎にこっそり投げつけてやったり。(みんな泣きながら逃げていきます)
たまに筆記用具を隠してくる、学年のチャラい女子たちが連れ立ってトイレに行く時に、そっとスカートにつけておいたり。
結構使えるんですよ?
皆様もいかがでしょうか。
痴漢撃退。ナンパ撃退。嫌がらせ撃退。
そしてイタズラ。
万能ですね。ゴキさん。
さて、次回からは私の日々をご紹介しましょう。
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