園芸上級者の方へ

 色々いろいろな植物を育てた経験のある、園芸上級者のかたへ。

 見捨てられた、かわいそうな動物たちのことが、よく話題になりますが、植物にも、かわいそうな存在があります。

 ペットショップが、買われないまま大きくなってしまった犬猫を持てあますように、一番花いちばんかが終わった植物は、お店にとって困りものです。新しい花がどんどん入荷にゅうかしてくるので、置き場が無くなってしまうからです。

 売れ残りの植物たちの居場所は、お店のはしっこ、目立めだたない場所です。セール品や値下げ品として、遠慮えんりょがちにごしています。

 大抵たいてい、花が無くなり、葉っぱだけになっています。日陰ひかげに長く置かれたものは、茶色くなって、息もえだったりします。

 園芸上級者の方は、そんな植物たちに、救いの手をべてやってほしいのです。

 いくらかわいそうだからと言っても、犬や猫を飼うのは大変たいへんです。覚悟も、お金も、時間も、場所も必要です。

 でも小さな鉢の一つや二つなら、庭やベランダのすみっこに置いてやれます。

 ちょっと手を貸してやるだけで、命をつなぐことのできる植物たちです。

 もっとも、連れて帰ってすぐ、枯れてしまってはつまらないので、生きびることのできる植物の見分け方をお教えしましょう。

 一年草いちねんそうは、しゅんの時期の初めに出されて、一番花が枯れて、無くなってしまったものがねらです。

 種類としては、初冬しょとうのやパンジー・ヴィオラ、初夏しょかのペチュニアなどです。あと、球根植物ですが、シクラメンも。

 葉っぱを持ち上げて、根元を見てください。

 小さなつぼみいくつも顔をのぞかせていたら、おどく。二番花が咲く時期を待っているのです。

 ポイントは、葉が元気かどうか、くきしなびてヨレヨレになっていないか、根元に病気が無いかどうかということです。

 やたらヒョロヒョロしているものも、良くありませんが、テキもサルもの引っくもの、徒長とちょうしやすい植物は、矮化剤わいかざいが使われていて、お店にいる間は、薬がいているようになっています。見るからに伸びきったものは最近、あまり見かけなくなりました。

 いたんだ葉や根を取りのぞき、鉢が根でいっぱいになっていたら、少し大きめの鉢に植え替えてやってください。

 多年草たねんそうは、地上部が枯れてしまっていても、翌年、また咲くことが出来ます。鉢に差してある、小さなプラカードの説明書きを読んでみてください。お店のかたが、わかりやすいPOPポップを付けてくれていることもあります。

 木は成長が早すぎて、根鉢ねばちが回ってしまっていることが多いです。持って帰ったら、少し広い鉢に植え替えてやってください。

 木の場合、すぐに結果が出なくても、あきらめないでください。

 環境が変わっても気にせず、いっぱい花が咲いた木が、そのままあっさり、枯れてしまったりします。買ってきた年はあんまり花の咲かない、用心深い木のほうが、翌年以降、安定して、元気に長生きしたりします。

 自分の好みのものを得るのは期待できませんが、それまで育てたことのない種類の植物に挑戦ちょうせんするチャンスでもあります。失敗しても、お安くなっている品なので、お財布サイフもそれほど痛みません。

 プロが見放みはなした植物をよみがえらせるのは、人(植物?)助けをしたみたいで、ちょっといい気分です。

 我こそは、という方、試してみませんか?


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る