第4話旅の仲間
一夜明けて、ファルリンたちはオアシスを旅立った。
「こんなところで
文筆家は、ここら辺では珍しい肌の白い人種であった。そんなに白くては太陽の光に負けてしまうのでは?とファルリンは心配するほど肌が白く透き通っていた。髪色は、太陽の光を反射して煌めくような金髪で、鼻は筋の通った鷲鼻。目は丸みを帯びた垂れ目で、新緑の色をしていた。
「私たちを知っているの?」
ファルリンたち
「もちろん。僕は、世界中を見て回りたいんだ。色んな人に会ってみたいし。君たちのことは、ヤシャール王国について調べたときにきいたんだ」
ジャック・スミスと名乗った男は、人なつっこい性格らしく、一緒に旅する者たちと他愛の無い話をよくしていた。中でもファルリンと話をすることが多かった。一番、めずらしく興味を惹く存在だったのだろう。
駱駝を一列に並べ、街道を行く。空は雲ひとつなく晴れ渡っていて、ワシの鳴く声が響く。辺りは背丈の低い木が所々に生えていて、荒れた砂地がどこまでも続いていた。水の干上がった白い跡伝いに駱駝を歩かせる。
街道沿いだというのに、自分たち以外はこの荒れ地にいないのではないかと思わせるほど人の姿が無い。
ファルリンは、遠くから馬の駆ける音を耳に捕らえた。数は、十匹ほど。この荒れ地を馬で旅をする人は、ほとんどいない。持久力がないからだ。考えられるとしたら、ここら辺を縄張りにしている盗賊団だろう。
ファルリンは、警戒するように呼びかける。護衛達も
ほどなくして、騎影が見えた。馬の数は10。馬の乗り手達は手にそれぞれの武器を構えている。荒くれ者達が、ファルリン達の
「みろ、上玉がいるぞ」
「売れば高値がつきそうだな」
盗賊たちは、距離を詰めながら弓矢を構える。獲物に逃げられないように、足となる駱駝を射るのだ。
ペイマーンとジャックを後方に下がらせ、護衛達は盾を構えて前に出る。ファルリンは、護衛達と同じように前へ出て、呪文を唱え始めた。
『ここは、風の精霊の通り道。弓矢は通らじ』
護衛達と後方にいるペイマーンとジャックまでを覆うように虹色に反射するドーム状の膜が張られる。ファルリンの呪文が成功したのだ。
膜が張られるのと同時に、盗賊達からの弓矢が飛来する。すべて、虹色の膜が弓矢をはじいていく。
遠距離攻撃が通じないことがわかると、盗賊達はすばやく距離をつめてきた。護衛達が槍を構える。それより早く、ファルリンは弓をつがえ盗賊達に向けて放つ。
『風よ。疾く疾く、弓矢を運べ』
ファルリンは、風の精霊の加護を付与した弓を握りながら風の精霊の加護を祈る。放たれた弓矢は加速し、馬上にいた盗賊の肩に刺さる。風の精霊の加護によって加速した弓矢は、かなりの推進力があったので矢の刺さった盗賊は後方へと倒れ馬から落ちた。
「さすが、やるな!」
護衛の一人が歓声を上げる。ファルリンは、もう一度矢をつがえる。次は矢を二本持ち、連続で放つ。風の精霊の加護が付与され、これも盗賊を二人、討ち取る。しかし、そこで盗賊達に接近を許してしまった。
護衛達が、槍を巧みに操りながら盗賊達を相手にする。ファルリンも一人盗賊と対峙する。弓を背中に戻し、槍を構える。
ファルリンは、体が軽いので接近戦だとそれが不利に働く。なるべく力の押し合いにならないように相手の攻撃を槍で受け流していく。三撃目で受け流しながら槍を引き、相手の体制を崩す。馬上で前のめりになった盗賊の肩をファルリンは、惑うことなく突き刺した。盗賊はうめき声を上げて馬から落ちる。
「来るなぁ!」
護衛達とファルリンは善戦しているが、多勢に無勢で、後方へと抜けていった盗賊が一人居た。ジャックと対峙している。ジャックは大陸の隅から隅まで旅をしたいそうだが、その割には自分を守る術を知らないらしい。彼は、かろうじて剣を構えているが、剣先が震えている。
盗賊が勝利を確信してジャックに剣を振り降ろそうとする瞬間、ファルリンは駱駝を駆ける。ファルリンは、ジャックと盗賊の間に割り入り、駱駝から飛び降りると両手のひらを盗賊に向けて突き出す。
「
光の洪水とともにファルリンの持つ
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