第8話 vs日本最強 ②

息を吸い込む。そのまま踏み込み、敵であるクライストに近づく。


俺の刀の斬撃が音速を超え、凄まじいスピードでクライストを狙う。


ー瞬間。


クライストも槍により迎撃した。弾かれた瞬間、周りにとっては一瞬でも、俺にとっては考える時間には十分だった。


単撃ではだめだ。連撃を打ち込もう。


そう考え、すかさず刹那に連撃を放った。しかし、クライストが全てをはじき返したことで、俺とクライストは凄まじい轟音と衝撃波を周囲にまき散らし、しばらく連撃の打ち合いになる。


俺はクライストの槍捌きを見て、長い武器特有の隙を探していた。この男に、真正面から愚直に挑んでも、結局見切られ、はじき返されるだけだ。


そして、いくら武器の扱いを極めた達人でも一瞬生んでしまう隙を俺は突き、一息ひといきの間に相手の懐まで近づき、刀で大振りをした。


しかし、これもクライストに見切られてしまう。寸前で俺の大振りを躱した彼はそのまま後方へと退き、周囲にサイドステップを高速で行い、フェイントをした後、今度は向こうから俺の懐に高速の突きを放ってきた。


だが、そうくるのは俺も見切っていた。


槍の突きを体躯をひねることで躱し、そのまま槍の下に潜り込み、下から上へ槍をはじき返した。


「くッ・・!」


そんな声を漏らしたクライストは、初めて大きな隙を見せ、そのまま俺は追撃を加える。


前へ進みながら力を込めた一振りを何度も放っていく。クライストは、苦悶の表情を浮かべ、後方へとバックステップしながら間一髪ながらも見事に俺の渾身の一撃一撃をはじき返している。


すると、クライストは突然ターンをして俺の斬撃を交わし


「柳生流槍術『諸突しょとつ』!!」


という声とともに、さっきとは比べ物にならないスピードで眼前まで迫ってきた。


すんでのところで俺は刀の腹でその突きを受け、衝撃によって後方へと飛ばされてしまった。


再び状況は振出しに戻った。


「悔しいが、私の純粋な槍術ではお前には遠く及ばないようだ。新条、どういうわけかお前の剣筋からはまだ余裕が感じられる・・。お前は一体何者なんだ?」


そうクライストが問いかけてくる。


「僕はただのそこら辺にいる高校生ですよ。」


俺がそう返すと、


「そこら辺にいる高校生に私の槍術が見切られるはずがないだろう・・。まぁいい。答える気がないんだったら、こちらはさらに本気を出すしかあるまい。柳生流槍術奥義の数々と、私の『魔法槍まほうそう』を以て、その余裕を打ち砕こう。」


空気が一変した。

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