10-2★


 しばらく腹抱えて笑っていると、中林がよろよろと覚束ない足取りで立ち上がり、荒く呼吸をしながら俺を睨んでくる。


 「お、ま、え...!!いきなり俺にこんな仕打ち、を...!暴行、刃傷沙汰、そして殺人...!言い訳が効かないくらいの犯罪を重ねたお前、は......死刑や死刑!!中学の時から分かってたことやったが、お前は悪人や!!いつか犯罪を犯すだろう生きる価値無いクズや!


 だから...正義側に位置する俺らが、あの時から裁きの一環でお前を排除しようとした!そして思った通り、お前はそうやって犯罪に走った!」

 「......」

 「言い返せないか?何せ事実やもんなぁ!?あれからお前がどうなったかは知らんままでいたが、どうせロクな人生を歩んでやかったんやろなぁ?雑魚で低脳で人望が無いお前なんかに、社会での居場所なんかどこにもな――「もう黙れウザい」


 ――がぺっ!?」



 聞くに堪えないざれ言をうるさく喚く中林の顔面に、溜めに溜めたパンチをめり込ませて、遊具がある方へ吹き飛ばした。


 いったいどこからツッコめば良いのやら...。とりあえずこれだけは言うとしよう。



 滑り台で伸びてる中林の胸倉を乱暴に掴んで地面に再度這いつくばらせて、見下しながら言葉を吐く。


 「あのさァ、お前今、 “正義”つった?誰が?お前が??なぁ...マジで何言ってんの?

 仮に俺が悪だったとしてもだ。あの時、多勢に無勢と言う卑怯な策略を行い、陰で俺を虐げてきたお前が正義側だと名乗るとか、どういう了見なん?


 悪人相手だろうが、ああやって日常的にリンチを行ってきたお前こそが、悪人で犯罪者なんじゃねーのか。というかモロ犯罪者だろうが。自分のこと棚上げして俺を犯罪者呼びするとか意味分かんねーんだよ。頭沸いてんのか、え?」



 「な、にを...言って......ぇえ”!?」



 「何言ってんのかってお前にだけは言われたくねーつったんだよ!ここまできてまだ惚ける気ですかー?んん?

 お前らがしてきたアレは虐めだよ虐め!紛れもない事実だろうが。人を心身ともに傷つける行為をそう呼ばずして何て呼ぶんだよええ?しかもお前らは重度の虐めを!俺にしてきたんだ!!忘れたとは言わせねー!!ここにお前らの被害者が、こうして憤慨して憎悪の目を向けてる限り、人の何もかもを踏みにじったあの最低行為をした覚えは無いだなんて絶対に言わせねーぞ!

 お前は特に赦さねー!!ここであの3年間溜めてきた憎悪を全てぶつけてやるよ。生まれたことを後悔する程の苦痛を与えてやるっ!!!」 




 「か......く、るし...!」


 まだ惚けようとする中林の首を掴んで持ち上げながら罵詈雑言を苛烈にぶつけていく。



 「苦しいか?ハッ、この程度で音を上げてんじゃねーよ。俺はこんなのが楽に感じるくらいの傷と痛みと屈辱と苦しみを散々与えられてきたんだからなぁ!お前から受けてきたんだよ......中林大毅ぃ!!!」

 「!!あづああああ”あ”あ”!!」



 摂氏数百度にまで熱した鉄の棒を中林の眼球に当ててやる。ジュゥウと炒め物を調理するみたいな音がして、奴の目から煙が上がった。鉄の棒を離して見てみると奴の右目が白くなって失明していた。まるで目玉焼きだw



 「まだまだ行くぞっ」

 「いだあああああ!!」

 

 次は卸包丁で四肢の皮膚を薄くスライスして皮を剥いで、赤い中身を剥き出しにさせた。そこに先程の熱した棒を押し当ててグリグリと回してやった。さらに上の服も焼き消して、胴体も同様にスライスして、熱棒を押し当てた!



 「!!う”わ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”いだいあづいいだいあづいぃいいいいい!!!や、べろっ!!その棒を手足に当てるなぁ!!」

 「あ?お前が俺にあれこれ指図する立場だと思ってんのかクズが。誰が止めてやるかよ。俺がそうやって制止の言葉を叫んでお前らが止めたことあったか?ん??」

 「そ、ぞれは...!」

 「まぁそれはそうと...この熱い棒は嫌か...。だったら、これはどうか...なっ!?」



 そう言ったと同時に、俺の両手から粗塩を召喚させた。それを手に万遍なく付けて、中林の剥き出しになった赤い体に思い切り叩きつけた!




 「あ”......あ”あ”微kjgふぃfgfg伊hhごあ”あ”!!?ぎゃああああああああ!!!」

 「あっはははははははは!!どうだ?目がチカチカして意識飛びそうになったか!?痛いだろ~~?傷口の粗塩塗りはマジで痛いよな~~~。

 これも、お前がしたことなんだけどなぁ...!」

 「あ......あああああああああああああ...!!い、たい...痛いよぉお!」



 ホントあれは拷問に近い仕打ちだったね!このクズは大体最後、傷口に塩を塗りたくってきて、激痛にのたうち回る俺を見て嗤ってやがったんだ!今もあの時と同じ仕打ちを、今度は俺がこいつに体験させたに過ぎない。まぁその痛がり方には同意するよ...。



 「ほら、塩はまだまだあるから......ここにっ!」

 ドンと音を立てて、人一人が入りそうな壺を召喚。そこに中林を無造作に放り入れる。



 「ひぃ、何を......こ、これは全部塩―――ひぃぎゃあ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”!!!い”やあ”あ”あ”あ”あ”あ”、た、助けでぇ!!!」

 「ぶはあはははは!!そう、その壺の中には粗塩がぎっしり詰まってる!その血管が見えそうになるくらいまで剥がれた体でそんなところへ入ったら、それはそれは......お気の毒です!ぶわははははははははははっ!!」



 壺に蓋をして、暴れる中林を閉じ込める。あーあー、暴れたりなんかしたら余計に塩が体に付いてしまうというのに...。壺を横倒しにして、軽く蹴って転がしてやった。中から中林の声にならない絶叫が聞こえてきてすごく笑えた。数分間転がしたところで、壺を割って、中身を出してやる。上半身塩だらけで憔悴しきってる無様な姿は滑稽だった。


 「杉山ァ......許さん!!お前みたいな狂った男は法で裁かれて、死刑にされろぉ!!

 誰かァ!!今すぐコイツを抑えろォ!!おいっ!誰か近くにいないのか!?早くこの狂人を何とかしてくれぇ!!!」


 中林は壺から出るなり俺に罵声を浴びせて、公園の近くにいるであろう誰かに助けを求める。今さら助けを呼んだか...遅くね?余裕なかったのかねぇ。まぁ叫んでも全然意味なんて無いんだけど。


 「あー必死に叫んでるところ悪いんだけど、どんなに頑張ってヘルプシャウトしても誰もお前に気付いてくれねーぞ?俺がそういう風に細工しておいたから」

 「は、あ...!?何言ってんだお前はぁ!!これだけ騒いでたら近所の住民か誰かくらいは気付く―――!?あ、あれ?そういえ、ば………なんで?」

 「おお、悪賢いお前なら気付いてくれると思ったぜ。そうおかしいよな?さっきか凄い音量で喚いてるのに、誰もここに近づいて来ねーもんな?つまりそういうこと。ここには誰も来ないし誰もお前の有様に気付かない。そうだなぁ...ここに人が来るとしたら、お前が俺に殺された後じゃないかなぁ?」

 「な......な、な...う、そだ...!あ、ああ...!!」

 

 咄嗟に俺の言葉を否定した中林だったが、この状況と俺の言った内容とを照らし合わせて辻褄が合ってることを認めはじめたな。ここでようやくこいつの絶望した顔が見えてきた。


 面白いなぁ...復讐対象がこうして絶望してくれるのはさぁ...!



 「な、なぁ...。俺は確かに中学では杉山には大変なことをやらかしてしまった...!最初は本山や谷里に誘われて軽い気持ちでやったことなんだ――」

 「出たよその“軽い気持ち”っていうフレーズ。お前らはどうしてその軽い気持ちとやらであんな風に人を理不尽に虐げたりするんだろうな...。こうして話してみれば、やっぱりお前こそが最低な悪人にしか思えないよなぁ。違うかい、ねぇ!?」

 

 俺に凄まれてすっかり萎縮した様子の中林は、辛うじて見苦しい言い訳を続ける。

 

 「あ...あの時の俺は、まだ物事の区別がつかずにいたガキだったから......人の痛みのことなんかロクに考えずに行動してしまって、それで―――」



 「 “ガキだったから”......僕たちは若かった、子どもだったからあんなことしてしまいましたー、って言いたいのか今度は?なぁ......言い訳するならもう少しマシなことを言えよ。さっきのにしろ今のにしろ、ソレっぽいことを都合よく言って、逃げようとしてるようにしか聞こえねーんだよアホカスが。

 それに当時13才のガキにでも分かることだよなぁ?


 “人が本気で嫌がることは止めましょう”、“むやみに傷つけるのは止めましょう”ってさぁ。小学校の道徳とかで習わなかったか?

 そういう当たり前のことをロクに守れないクズがさぁ、俺が悪人だ犯罪者だ狂人だとか抜かしてるのは何なんだろうな...?お前は自信もって言えるのか?自分は潔白だ、正義側だ、悪いことはしてきてませんって...」


 「う......あああ...!」

 「そろそろさぁ......自分がしてきたことについて真剣に何か言うことないわけぇ!?」


 グチャァ...!「――びぇああああああ”あ”あ”...!!ご、ごめんなさいいいいい!!俺は、悪人だ!寄ってたかって杉山を甚振って虐めたことは事実で、それはやってはいけないことで......悪いことでしたああああ!!俺が悪かったあああああ!!すみませんすみませんすみません...!!」



 両脚の脛を砕かれてまた絶叫を上げてから、中林は自分が悪だと自認して、今更虐めのことを謝罪してきた。赦す気なんてこれっぽっちも無いのに必死だねぇ...。



 「言ったよねぇ?生まれてきたこと後悔させてやるって...。これで終わりにするわけねーじゃん。あの3年間を上塗りするまで、お前は...俺に理不尽に虐げられて、もっと苦しむんだよ...!俺は、お前に復讐しに来たんだから...!」

 “痛覚過敏化”もっと痛がれぇ!!



 ドゴッ...!「ごえええええ!!いだ、あああ...!」



 「お前の痛覚を数倍強くした。こんな弱い蹴りでももの凄く痛いやろーなぁ。さて、今すぐ死ねると思うな?まだまだ満たされていないんだよ...。さぁ続けるぞ!!」

 「い”、やあ...!ごめんなさい赦して赦して赦して助けて助けて殺さないで見逃して―――」




 ――この後も、殴打・刃物・火炙り・重力・幻術・ウイルス等を以て、夜が深まっても中林に復讐し続けた。

 「殺さないで、赦して」といったセリフが、「殺してくれ」に変わっても、俺は止む事無く奴の全てを踏みにじり続けた...。





 朝日が昇り始めた頃、手が滑って首を刎ねてしまったところで終了した。非常に楽しかった。こいつは虐めの主犯格だったから、今まででいちばんスカッとした!

 太陽の光を全身に浴びながら、拠点へ帰って行った。



 学生時代の復讐 4人目完了。



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