奴自身の血溜まりに沈んで絶命している清水博樹を、俺は冷たい眼で見下していた。



 どうだ、思い知ったか?そこが、当時の俺がいた場所だった。同じ底辺に落ちたことで少しは俺の気持ちが理解できたか?理不尽に虐げられることがどれだけ怖くて屈辱的であったか。



 まぁ理解したことろで改心する奴なんか、そういねぇだろうな。根から腐りきった人間はなおさらだ。というよりこのカスに至っては、理解すらしないまま死んだかもしれないが。理解なんてしてもらえなくてもいいけどな。俺はただ殺したいからこうしただけだし。

  

 「ああそういえば、お前は成人してからもずっと人や動物が虐げられているところを見て、しまいには撮影までしてたんだったな?だから今度はお前がそうなってる様を撮るとするかぁ」



 そう提案した俺は、器用にスマホ撮影を始めた。内容は既に死体となった清水を暴行している様子だ。一方的に殴り、蹴り、吹き飛ばして、刺して炙って焼いて叩きつけて打ち付けてなど…死者をとことん冒涜する様を存分に記録した。



 復讐を終えたここにもう用は無い。最初の復讐と同じく、部屋全域にオイルを撒いて火をつけて、清水の私物を全て消し炭にしてやる。


 学生時代の復讐対象連中を全員殺すまでは、この清水宅をしばらくの寝床にしようと決めていた。だからここを…清水が住んでいた痕跡はもちろん、奴がいたという過去をも無かったことになるくらいに浄化してやった。そうして全て焼き払い、俺の家へと改築した。


 何も無くなったこの家に、安アパートにある俺の私物・家具をある程度移動させて、ちょっとした引っ越しを完了させた。



 学生時代の復讐対象はあと10人以上もいる。イイねイイね~~、しばらく退屈しない日々が続きそうだ。今だって、殺したい奴を殺せて凄く気分爽快だ!

 飯にする前に、さっき撮影した動画を編集して、ネットに流そう。今すぐにでも清水の無様なやられようを晒したいからな。

 俺の顔を隠して、声もダミらせて、動画を何回か停止させてそこを画像保存して...上手く編集していく。そして完成。約10分にわたる清水博樹への暴行動画!




 タイトルは、「人間のクズを制裁して殺し、その死体をぐちゃぐちゃにしてみた」とかで良いか。動画詳細欄にあいつが陰で犯してきた罪を書き込んで、だからこいつはああも酷い目に遭ってるんだよってことを示すんだ。一人でもこの動画が面白いと思ってくれたらありがたいね。では投稿!



 良いことしたところで、夕飯買いに行こう。今日はファーストフードが食べたい気分。マックバーガーたくさん買うとしよう。あの塩加減絶妙なポテトとマスタードがよく合うチキンナゲット、ドリンクはコーラで!うんこうしてはいられない、早速行こう。

 夜時間でも客は結構いるⅯバーガー店に入り、列に入る。最後尾に入って、何にするかをメニュー見て考えていたところに...


 「でさ~~あいつがよぉ――」

 「ぶっはwマジかよウケるww」


 少し開いた前を進もうと歩いた俺の肩をぶつけてきた少し大柄でガラの悪い男二人(20代)が俺の前に割り込んで入りやがった。


 ......はぁ??いやおいおい......


 「列に割り込むな抜かすな。俺が並んでたろうが。どけ、後ろへ行けよ」


 割り込んだ二人の上着を掴んで強引に後ろへ下がらせる。すると、後ろへ引っ張られたことが気に障った様子の金髪男が怒声を上げながら俺に絡んできた。はぁ、楽しくメニュー眺めてたところに......。


 「何しやがんだガキが!?今のは無いんじゃねーのか、ああ!?」

 「ナイのはお前のキモい顔面だ。順番抜かししてきたクズが何されようが文句言われる筋合いは無い。失せろ。」

 「あ”あ”?......おいお前調子に乗るなよ?痛い目に遭う前に謝れば財布の中身だけで勘弁してやる。ちび野郎、潰すぞコラ」

 

 もう一人のニット帽被った男もガンを飛ばしながら俺に謝罪を要求するという奇行をしてきた。俺の殺意メーターが上昇していく...。周りの客が俺たちから離れていき、店員がこっちに来ようとしている。


 「謝るのはお前らだ。せっかくお楽しみ気分でいたところにああやって列に割り込んでマナー違反しやがって。失せるか謝罪するかどちらかにしろ。警告はしたぞ?」

 「はいテメー締めるー。手足バキバキに折ってお財布も没収しまーす」

 「ガキが列を抜かしたくらいで俺らに歯向かってんじゃねーぞ?ぶっ潰す」


 男二人はなおも俺を不快にさせる言動をとり、金髪男が俺の胸倉を掴んだ。もう片方の手にはメリケンがはめられている。つーか締めるとか歯向かうとか...いつの時代の人間?こいつら猿以下の知能しか無いクズかよ。しかもこうやって俺に害を為そうとまでするとか...。


 うん、こういうゴミ人間は、世の中に必要とされないよね?殺して良いよね?



 というわけで――


 「もしもーし?ビビッて声も出せませんかー?ゲラゲラゲラ――」

 「死刑」


 ゴキャ......



 「ひぎゃああああああああああ!!?俺の腕がぁあああああ!!!」

 「お、おい!?嘘だろ...!」

 

 俺に触れてた腕を力いっぱい握って骨をへし折った。金髪は折れた腕を押さえて絶叫、ニット帽の方も狼狽して後ずさる。そして騒がしくなる店内。うーんよろしくない。まだ買ってもいないのにこれではまともに買い物できない。そこで!



 “今のいざこざを認知しない。何も起きなかった。なお、この男二人はいないものとすること” パンッ!

 

 乾いた音が鳴ったと同時に、男二人以外の人間全員が、さっきまでの騒ぎを気にしなくなり通常通りに戻った。店員も戻っていった。そして俺は素早く男二人を拘束してから外へ放った。あいつらへの罰は後でだ。列を乱したせいでまた最後尾へ並び直しだ。こういうところは俺はきちんとルールを守る。列の割り込みはどんな理由があろうと許さない主義なんで。たとえそれが自分自身でもだ!



 並んでいる間でハンバーガーを決めて購入。かばんに商品が入った袋を入れて、店へ出る。そして駐車場に捨てておいたゴミクズ二人のもとへ向かう。事を起こす前に人払いの結界を張っておく。これで邪魔が入ることはない、楽しく処刑ができる...!









 「「んーー!ん”ん”ーーー!!」」

  

 塞がれた口を懸命に動かして何か叫ぶが無視。まずは俺に触れた金髪男の汚い右腕を斬り潰してやった。



 「ん”ん”ー----------!!!」

 

 情けなく涙を流して絶叫するがこれも無視。少し動きたい気分になったので、靴裏にスパイクピンのような刃物を生やして、ジャンプで踏んだり、サッカーみたいに蹴ったりして二人を甚振った。



 「「んーー!!ん、ん”ん”-----!!!......!!」」

 

 血が出る度に無様に絶叫する様子は滑稽で笑える。だが心はまだ怒りで満ちている。せっかくの良い気分を汚したこのゴミクズ二人は残酷な目に遭わせなければ気が済まない。水魔術で強力な酸を出して頭と体全体にぶっかけてやるとさらに面白い反応が見られた。髪は無くなり、服ごと肌が爛れて、局所に集中して注いだら肉も溶けていき、骨まで見えてきた。



 「「ん”ん”ん”ん”ん”ん”ん”ん”ん”ん”ん”...!!!」」



 足を地面に叩きつけながらジタバタと暴れるその様はマジで滑稽で、いつの間にか俺は嗤っていた。そして爛れた部分に刃物が付いた靴でまた踏みつけた。ぐじゅっと音が立って血と体液がたくさん出てきてキモかった。

 二人のくぐもった絶叫を聞きながらしばらく踏みつけて蹴り続け...せっかく買ったハンバーガーたちが冷めるうちにそろそろ止めを刺すことに。こいつらに口を開かせるつもりはないので、口を塞がせたままにして、俺は二人に話しかける。



 「列は順番をきちんと守ること。決して既に並んでる人の前に割り込んではいけない。これは当たり前のことだ。俺はね、こんな当たり前のことを破る人間はこの世から消えていいと思ってるんだよね?こんな簡単なルールを平気で破るゴミクズなんて、社会に...世の中にとって不要物で害だと思ってるんだわ。

 だからそんなゴミクズであるお前ら二人は、もう殺しまーす」



 大きな剣を構えた俺を見た二人が、必死に首を振って縋るような目を向ける。ん”ーん”ーと何か訴えかけてくる。それら全部を無視したまま、俺は無慈悲に剣を振り下ろして二つの首を同時に刎ねた。

 俺は二人の汚い血で汚れた駐車場を後にして拠点へ帰って行った。魔術で色々細工しておいたから、今の処刑場面は誰にもバレない。監視カメラとかにも引っかかってはいない。放っておいて大丈夫だ。



 それにしても...列に割り込んで順番抜かしてくる奴とか、ホンマにあり得へんわー。マジ無理だわー殺したいくらいに。次また同じことが起きたら、もうその場で惨殺しよう。


 帰宅して早速食事にする。20年以上振りに食べたⅯバーガーは、泣きそうになるくらいに美味かった。ああ、この味変わってねーな...と思った。ポテトもナゲットもコーラも、何もかもが久しぶりで感動した。

 懐かしい食い物を楽しみながら夜を過ごした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る