第10話 違和感(彩side)
「あ〜。疲れた。お腹痛い時に限って仕事が忙しくなるよね」と言いながら私は家の玄関に入った。「最近時々凛が夜ご飯作るようになってくれて本当にありがたい」
そういえば日向くんの気持ちを聞いてみようかと考えていたら、丁度廊下に日向くんが立ってた。
何見てるのかなあと、視線の先を見たらリビングのソファで涼介さんと凛が並んで座って笑ってた。
何してるの、中入らないの?って日向くんに声かけようとしたら日向くんが私に気付いて言った。
「仲いいですよね。二人」
仲いいのはいいことだよね?と思って眺めてたら、なーんか普段より涼介さんキリっとした雰囲気だった。理由はないけど、なんとなくその日はそれが気にくわなかった。いや、深い意味はないけど、そういう時ってあるじゃない?私の体調がちょっと悪かったせいもあるかもしれないけど。
そしたら日向くん私の顔を見てから、失言したって感じでハッとして急にしどろもどろになってまくし立てだした。
「いや、本当に単に仲がいいなあっていうだけで、本当に親子のようっていうか、いやー」とか何とかもごもご言って急にその場を立ち去った。
ええーっ、何々何々!?どういうこと。私こういう時にぴーんと女の勘とか働かないんだけど、どうして日向くんはあんなに焦るの?おかしいよね?何もなかったらあんな反応しないよね?
何だろうと思って部屋に入ったら、急に二人もハッとしてこっちを見てワザとらしくテレビを消して涼介さんはリビングから立ち去った。
凛も一緒にリビングから出て行こうとしていたので、私は反射的に凛を呼び止めた。
「凛どこ行くの?」
「宿題があったかも」なぜかその一言がすごく引っ掛かった。
「かもって何?宿題があるかどうかも自分で分からないの?」
「いやいや、あったことを忘れてないか確認しに行くの」と私を振り払って自分の部屋へと戻っていった。
私だけがリビングに取り残された。
これ?何?…何かみんな隠してるかもしれない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます