第80話ハッキング・・・失敗?

電話を切った。

大丈夫だったかな。そうだ、俺の異能?何故か見えた海誠先生の部屋。


――ミナキ。見えた?凄い?――

脳内へ聞こえる声。


フワフワと目の前に降りてきた四神と。


勾陳くうちん帝台ていだい文王ぶんおう三台さんだい玉女ぎょくにょ


神人と言われている。


――お初にお目にかかります――

フワフワの小さな神人達。可愛い。


――さっきのは遠隔透視。お試し発動したんだが使うには異能を普通は消費する。考えて使ってくれ――

帝台の異能?なのかな。俺は頷いた。


遠隔透視は偵察よりも一瞬だから見つからない。見える時間は1~2秒。

電話中だとか知っている場所だと透視しやすく知らない場所だと違う場所を見てしまう確率もある。なかなか難しい異能だな。



――それよりも全員を使って結界を張れる。絶対に破れない――


――それは鉄壁――


鉄壁。もう絶対に皆を護れるよ。

だけど気力を沢山消費するから鍛えてね。


と言われて四神と神人達は頭の上にフワフワと戻って行った。


同じミスは繰り返さない。

カプリス全員を護る。


ヴェガさんの寝室を出ると早く話が聞きたいと言う顔でボスがソファに無言手招きした。


「アルージャが家でのハッキングじゃないから機嫌悪いんだよね。」

コソコソとそう言われた。


「煩いよ・・・。」

ダイニングルームで1人ハッキング中のハーミット様。本当に機嫌悪い。

「明るいと集中出来ないぃぃ。」

よし!とハーミット様は立ち上がって

「今度は俺が寝室借りるね。」


俺と入れ替わりでハーミット様はヴェガさんの寝室へ篭った。



「はぁ。政府へのハッキングって相当神経使うんだって。」

ボスは何時もハーミット様は自室で1人でやってたから。と申し訳無さそうに言った。

それも小声。

他の皆も出来る限りコソコソと話している。

ボスとウェンをダイニングルームに移動させて海誠先生との話をした。


「良かった。シアンも自分なりに頑張っているんだな。でも、無理するなって伝えたいな。」

ボスが寂しそうに微笑んだ。

「上手く騙せたら良いね。脳内チップ入れられたら洒落にらない。」

ウェンもシアンの頑張りを心配してくれてる。

普段なら反対されそうだけれども。ボスもウェンも海誠先生の事を少し受け入れてくれた。



・・・・・・・・・・・・・


あー。セキュリティきっつー。

天才ハーミットでもこれは時間かかるよ。


政府異能者閲覧のセキュリティは通常よりセキュリティが厳しい。前回オーガを閲覧した時もそこそこ大変だった。

今回はSクラスって更に厳重。


元々、1人で篭もりたい性格、ちょっと皆に八つ当たり、これは後で謝ろう。


ヴェガの寝室のカーテンを全部閉め切って。

まあまあ暗いか。俺は遮光カーテンが好きだ。

デカいベッドに腰を下ろす。


「潜るか?」

異能の消費は半端ないがそれが早いし楽だし。


――潜入インフルテーション――


意識が政府組織のコンピューターへ入っていく。


さて、Aクラス異能者閲覧までは辿り着いている。


問題はここから。

意識と言えども動けるし攻撃も出来る。

大元は無意識の身体が頑張っているからだけど。


トラップを破壊。


ここにバグ設置してっと。


コンピューターの中は不思議な空間。セキュリティの各部屋があってその扉を開けたりぶっ壊したりしていく。

トラップを破壊。

たまに、機械兵みたいな敵も居るが割と弱い。


よーし!Sクラス異能者のセキュリティ発見。


こいつらの情報があれば。少しはバトルが楽になるかな。

シアンの情報もAクラスかBクラス異能者一覧にあると良いが。帰ってからゆっくり画面見よう。


後は今の政府の同行も知りたい。

まだ行ける。


このトラップを全部破壊していたら次回からこの手間が省ける。

ハッキングされたと見せかけない為の偽装工作が1番面倒くさい。


はい。完成!


我ながら天才!!

今日はここまでにしとくか。


ふと・・さらに奥に繋がる道を見た。

そう。先はまだあるんだよな。

この先の深部には何があるのだろう・・。


闇・・・。


コンピューターの中なのに闇だ。今まで色々潜入して来たがこんなコンピューター内は見た事が無い。


俺はちょっと興味が沸いてしまった。

1歩だけ。少し見るだけ。


!!?


「何!!!!?」


トラップか!嘘ー!!


こんな無気配の・・。

しまったー!!


四方からヌルッとした何かに両手を掴まれた。


「うわ・・・。気持ち悪ぅ。」

捕まった。


これ?何?触手みたいな・・・。


クソ!こんな物!直ぐに解いて破壊してやる!


え?!わっ!!!


「うっ・・・・・・。」

待って・・・触るな・・あっ・・・力抜ける・・。


「何で・・こいつエロい・・。」


ヌルヌルした触手は俺の両手、両足を捕らえて身体を這い回る。


意識なのに。感じる・・・。


「やめろ!!あっ・・・。」


うわっ。


クソ・・・。嫌なのに!気持ち悪いのに・・・。


気持ち良いぃぃ。


はぁ。はぁ。


「待て・・・本当に力抜ける。」

身体が言う事を聞かない。


「あっ・・・!!!!」

意識なのにイカされてしまった。


はぁ。マジかよ・・・。


たっ・・戦わなきゃ!


「うわぁ!!やめろ!」

更に絡みつく触手は増えて拘束が激しくなった。


まじかーーー!!


ニュるっとした感触で身体の自由を奪われる。


身体がフルフルと震える。


触手プレイとか全然趣味じゃないのに。


快楽に負けそう。


意識飛んだら終わりだ・・・。帰れなくなる。


誰か・・・。助けて・・。

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