第50話高難度ミッション。巻き込まれる俺

この5日間、初日以外は攻撃に合う事は無くあと1分で警官が来ると言う事は何度かあったが無事だった。遺体を運ぶ筋力も何とか身に付き重たいが持てる範囲にはなった。


で、ボスから元締めに連絡が行き本日は難易度高い駆除仕事と言う事になりました。

何処へ行かされるんだか。不安しか無い。


元締めの部屋をノックして入る。

「おはようございます。」

「おはよう。ボスからのお達しだ諦めて頑張れや。」

入る早々にニヤっと笑われた。


「今日行ってもらう所はジ・パングの裏側。最も目が行き届かないから政府の役人が沢山いる国だよ。サン・パウロ連邦共和国。」

あー。もうイメージは完全にブラジルだ。


政府本部から遠い程、強い政府異能者や警察官が居ると言っていたよなあ。

そんな所に俺?!!


「流石に無茶じゃないですか?」

俺が不安そうな顔をすると一応予約駆除仕事らしい。

トントントントン!

部屋がノックされた。

「来たか。入れ。」

「よう!ユウエン!久々だなあ。」

入って来たのは


「ジハード!!」

テンションが急上昇。


「俺が同行するよ。」

ジハードも元締めもニヤっと笑った。

何か一気に出来そうな気がしてきた。


「またじゃんけんで決めて来たのか?」

「そうそう。皆、行きたがってたからねぇ。」

元締めとジハードは楽しそうに会話している。

「遺体運びは微妙に嫌だが。まあ、バトル出来るかもしれないし。」

「お前らしいなあ。」

俺はスーツで行くよとジハードは笑う。

うん。俺が遺体は運ぼう。


「じゃあ。ちょっと遊んで来るよ。」

遊び・・。ジハードと俺は予約駆除用の転移部屋へ移動する。


「ごめんね。ウェンじゃなくて。じゃんけん勝ったんだよ。」

ジハードがクスクスと笑いながら頭をポンポンと叩く。

「いや、嬉しいです!と言うかめちゃくちゃカプリスメンバーだと安心。」

結界がきちんと張れると言う安心感は本当に他の人達では無理だ。


「でもねぇ。あんまり手出しするなとはボスに言われているんだけど。」

ジハードは苦笑。本当に頑張ろうっと。

やる気も元気もめちゃくちゃ出てる。


「じゃあ。多少の覚悟はしてね?」


転移。いざサン・パウロへ。


予約駆除と言う事もあって場所は廃ビルの中だった。


先ずは


――朱雀偵察――


外の様子を伺う。


「ジハード!嘘!もう外に誰かいる!」

「あー。こいつは・・難儀そうだねぇ。」

ジハードは大きく溜息をついた。


政府?警察官?3人も居る。赤茶色の長髪、茶髪の短髪2人。

サングラスかけていて怪しそう。マフィア?


「撤退が良いの?」

「遺体だけは転移させようか。」

戦う選択か・・・。


遺体は3体だし間に合いそうだ。


敵は間違いなく此方に向かって来ている。


居所が解ると言う事は政府の人間なのかこの廃ビルで事件があったと通報があってかけつけたのか。


今、ビルの1階。


こちらは気配消して動いているのに。


急いでは居ない。探る様に追い詰めるかの様に3人の男達は俺達の元へ向かってくる。


ジハードは遺体運びは手伝わずに見ているだけだが何とか2体運べた。

うわー。もう直ぐなのに。


何か勝算?あるのかなあ。


「ジハード。来るよ。」

ヤバい。朱雀を戻して何時でも結界を張れる体制にする。


「ほら。ミナキ頑張って。」

ジハードも案外ドSだな・・・。


でも、この前の異世界人警官の時の様な恐怖は少ないかも。やっぱりジハード強いし。

と思った瞬間。


ゾクゾクとした殺気に似た存在をアピールする様な気配。


「面倒臭いね。」

ジハードは溜息をついてメガネをチョイと上げた。


「・・・。」

サングラスの男達が部屋に入って来て此方を見る。

まだジハードも動かないし俺も何時でも動ける様に遺体は床に置いた。


「なんだ。バイトか?」

赤茶色の髪の男のがサングラスを外して此方を見た。


え?!

ブルーとオレンジのオッドアイの瞳のめちゃくちゃ綺麗なイケメン。

えぇぇぇぇ!!俺!この人知ってる!


「お久。駆除屋のバイトだよ。」

ジハードは彼に向かって苦笑した。


「ふーん?殺しが済んで出ようと思ったらどうもお前の気配がしたから。帰る予定が戻って来たんだ。元気か?ジハード。」


「気配消してたんだけどね?普通に元気だよ。まさかリオ拠点のマーシェルファミリーが依頼主とはな。」


マフィアファンの半数は彼のファンとも言われている。

名前はヴェガ。

マーシェルファミリーの幹部で半端ない強さとオッドアイが特徴のイケメン。


えーと。ジハードと知り合い?

気配消してたのに解ったの?凄すぎて怖い。


「で?この小さいのは?駆除屋?カプリス?」

チラリと俺の方を見られた。

小さいの・・・。まあ、ヴェガさんもジハードと同じくらいデカい。


「カプリスだよ。」

ジハードは俺に近付こうとするヴェガさんから庇うように後ろに引っ張られた。


「ふーん?」

面白くなさそうに俺に睨み付ける瞳が美しいんだけど怖い。


「ほら。早く撤退しないから警察と政府異能者が来てる。」

ジハードもヴェガさんを睨む。


ちょっと空気が凍る様な沈黙。


「殺るか?手伝え。報酬は増やす。」

ヴェガさんはニヤリと笑い警察官と政府異能者を殺ると言い出した。


「邪魔だから此奴は転移させるよ。」

ジハードは俺が床に置いた遺体をヒョイと掴んで魔法陣に乗せた。


「ちょっと待ってな。」

携帯で元締めに電話をかけて事態を説明している。


「残念。許可おりたよ。ミナキ、お前は見てるだけで構わない。学べ。」

ジハードは俺の肩をポンと叩いた。


あっ・・・。来た。

堂々と殺気を放っている。政府異能者1人。警察官3人。


「おい、チビ。俺はマーシェルファミリー幹部のヴェガ。こっちはビクターとガブリエルだ。」

茶髪の男性もサングラスを外して俺を見る。

マーシェルファミリーの3大イケメンだったか。


「俺はミナキ。カプリスの新人。宜しくお願い致します。」

チビと言う発言には少々ムカつくが絶対、俺の敵う相手じゃない。


そして、来た。

政府異能者は異世界人。肌で感じる。


この人、オーガと同じくらい強い・・。


「ヴェガ見ーつけた♪」

ニヤリと笑う口元。目は凍る様な瞳だった。

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