第10話真帆とストーカー

 ボク達は、朝食を食べたあと少し部屋でくつろぎ、旅館を出ようとしたら警察が迎えに来て昨日に引き続き事情聴取され、結局昼過ぎまで拘束された。


聴取の結果ストーカー野郎は、真帆へのストーカー行為により、今後真帆への接近禁止と、ボクへの殺人未遂と、真帆への暴行罪で逮捕状が出たみたいだ。


少しは安心できた。でも、まだ捕まってないから油断は出来ない。ボク達は警察から解放され旅の続きをしたかったが、観光する時間がなく、このままこの旅の最後の宿泊地、黒川温泉に向かった。


 列車で熊本まで行き、真帆の希望で熊本の町を散策って、これって恋人同士のデートでも今回はちょっとおかしなことになってる


「あの・・真帆さん?これってどういう事かな?

さっき言われるがまま着替えて真帆に顔と髪いじくられたけど・・

うんこの鏡に写る女の子これボクだよね?

ねぇ真帆どういう事…って

ほぇ?真帆… その格好って男装?

えーー!どう言うこと?ワケわかんないんですけど…」


「だってもう嫌なの!これ以上空が私のために傷つくのが・・だから変装してもらったの」


「いやいや真帆、さすがにこれはちょっと恥ずかしいし、またストーカー野郎に襲われると決まったわけじゃないしさ、これやめない?」


「でも空ってさ、女装の経験あるでしょ?うん!なんかありそうな気がする、だってこんなに可愛くなるんだもん」


「え!じ・じょυろう経験なんてないじょ!」


「あ!噛んだ・・でも似合うからいいじゃん♪」


「真帆だってめちゃイケメンだし、似合ってるってか、カッコイイ」


「空って脚も細いし綺麗だし、すね毛とか生えてないしツルツル、だからミニスカでニーソがよく似合うね、私のウイッグつけて目をハッキリさせれば、完全に女の子になると思ってやったらビックリ、めちゃくちゃ可愛いんだもん♪」


真帆はボクを見て喜んでいる


「やめろー可愛い言うな!恥ずかしさ倍増する・・」


 ボクは下を向き少し震えてる、恥ずかしすぎる・・

確かに何年か前に沖縄に行ったとき頼み込まれ、バイト料金UPにつられ、仕方なしにやったことあったけど、今は超恥ずかしい、こうして逆パターンデートは、終始真帆のペースですすんだ


「真帆どっかで早く着替えようよ!」


「ダメよ!私に付いてきて」


 こんな可愛い空、簡単に元に戻さないんだから、もう少し町中をデートしてから着替えよっと


「ねえ真帆まだ?」


 ずっとこんな感じでボクは真帆と手をつなぎ町中をうろうろしていると、可愛い子とか、素敵なカップルとか言う声がやたら聞こえてくる。

恥ずかしすぎる人込みを抜け少し人もまばらになったところに来ると、一人の男がボク達を見つけるとこっちに歩いて来た。


「見つけた!まさか男装してると思わなかったぜ!」


 声のする方を見ると帽子とサングラスをかけたストーカー野郎がいた。


「ほんとひつこい!真帆は渡さない!ボクの大切な人だ!」


「うるせぇ!ガキ!てめえは誰だよ!関係ないのに引っ込んでろ!

邪魔するならお前も一緒拐って俺のペットにしてやるよ!

真帆は監禁して俺だけのものにする、フハハハ・・」


「だから真帆は渡さないって、彼氏のボクが言ってるんだよ!屑ストーカー!」


「はぁ?何訳のわからないこと言ってるんだ!ガキ!お前は女だろうが……

まさか!あの時男装してたのか!

てめえは!動けなくしてレイプしてネットに流してやる!

真帆は俺だけのものなんだよぉー!

監禁してフハハハ」


 こいつ、壊れてる・・危なすぎる!真帆は震えてボクの後ろに隠れる


「真帆!ボクがあいつの相手をするから、その間に逃げて警察を呼んで!」


 真帆が走り出すと、男はリュックからボーガンを取り出して逃げる真帆に向ける


「真帆お前は逃がさねぇ、監禁して俺だけのものにするんだからよぉフハハハ・・」


男がボーガンを取り出したのを見て空は真帆に向け走り出す。


「させるわけないだろー!」


ダダダダダ…


「真帆ーー!」


ガシッ


ザクッ


 ボーガンの矢が真帆に当たる寸前真帆をかばった空の肩に命中する。


「ぐぅ・・・くそ!」


 男は倒れたボクを見てバタフライナイフを右手に持ち走ってくる。


真帆は震えて動けていない、空は真帆を立ち上がらせ怒鳴りつけ突き放す。


「真帆何してる逃げろ!」


ドン!

キャー


空は男に立ち向かうもナイフのほかに何か手に持ってるのに気づく


「おら!これでもくらえや!」


 何か液体がボクに向かって浴びせてくるボクは、手で顔をカバーしたが揮発性の高い液体は霧になり目にも入り、ボクは視界を奪われる


バシャッ


オラー

ブン!ブン!


く!涙が・・視界がぼやける・・


ヤバイ男が横にいる、ナイフ?振りかざしてる何とか躱すが少し切られる。


何かわめいてるが聞き取れない・・

男を見るとナイフを持ってた手は?

ボクの服を掴んでるえ?

ナイフは?


 ザク!


「・・・グウゥ・・・」


 男はナイフを左手に持ち替え空の死角から脇腹を刺す。


オラー

ザクッ!


「ぐぅ…」


こ・このままじゃ真帆がぐっ!捻挫してる手も使い両手でナイフを抜く


ぐぅー

ズボッ

はぁはぁ…


真帆に向かおうとする男の足にナイフを突き刺す!



「させない!真帆には触らせない!はぁーヤァ!」


 ザクッ!


「ギャァー・・てめえ!何しやがるさっさとくたばれよ!」


 ボクは相手の足を掴んだまま離さないから、男はボクの傷口を何度も殴ってくる・・


「おら!離せよ!」


 ドス!ドス!・・・・


 パトカーのサイレンが聞こえてボクの意識はなくなった・・・








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