夏がほどけてく

お祭りに足を運んだのは

最後が何年前だっけ

お囃子が汗で背中に張り付いて

八月を教えてくれる


からころ下駄を鳴らすあの子の

浴衣から伸びる手に引かれて


「ここからなら花火もよく見えるね」

記憶の続きは人混みに消えた

りんご飴みたいにまあるくて赤い

ほっぺにキス、を 続きに書き足そう


ふとスマホから顔を上げて

歓声に呼ばれてカーテンを開いた


ここからでも花火はよく見えるけど

窓枠の内側で夏がほどけてく

掬った金魚に問いかけてみる

独りぼっちは慣れられそうですか

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る