河童物語 〜番外編〜友人の章
藤城 魅梨香
雨の日の出会い
初めて会った時も雨が降っていた…。
「浅木 翔です」
「斉木 優です」
二人がオレのいる学校に転校してきたのは…。
転校初日から仲が良かったな…。
「何で一人でいるんだ?」
「僕達、お昼一緒して良いかな?」
何にも気にせず話しかけてきた…。
「…別に構わないけど後で後悔するぜ?」
「「??」」
これは本当の話…オレが中途半端な生物だという事…ヒトと河童の間に生まれた禁忌の子という事…まだ2人は知らないから……。
「よくわからねぇケドお前はお前だろ?」
「え………?」
「僕らは今の河流君に出会ったので昔とか周りの言う事とかそんなの関係ないですよ」
「………変な奴等」
「「よく言われる(ます)」」
その一言にオレは救われた………。
この2人なら分かってくれる…そう思った。
「へぇ~あの戦争で生き残った種族の子孫なのか…」
「あぁ…」
「じゃあ、祖先の方に感謝しないとね」
「何で?」
「だって、聖人の祖先が生き残らなかったら」
「「俺(僕)達出会うコトがなかったから」」
「…そっかぁ…じゃあ、少しは感謝しねぇとな」
「そうだな」
「もっとだよぉ~」
本当におかしな奴等だと思った……。
周りから冷たい視線を浴びてもずっとオレを親友だと言ってくれる…だから……守りたいと思ったんだ……。
「お前が河流か…はっ随分生意気そうな面してんじゃねぇの」
「……不細工な顔を近付けるな…気分が悪くなる……」
「「聖人っ!!」」
二人はオレが怪我をする前に必ず現れた…
…どうして…どうして助けてくれるのか…?
何で…笑顔を向けてくれるのか…
オレには検討もつかなかった…
ただ…あったかかった…
「何て無茶してるんだ…お前は…」
「聖人…君に何かあったら…もう、心配させないで…」
優の涙を見て…心が痛くなった…
「ごめん・・・」
自分から素直に謝ったのは初めてな気がする…
「「仕方ないなぁ」」
あ、今晴れた気がする…
オレの心が……
それから、オレは考えた……。
オレの存在を認めてくれた2人に何が出来るだろうと……。
「最近無駄に喧嘩しねぇのな」
「良い事だよ~♪」
自分の事の様に喜ぶ2人を見て、本当に心配してんだって解る。
「2人を巻き込む訳にはいかないからな」
もしかしたら、あの雨の日に変わったのかもしれない……。
淋しかったオレの心を淋しいところだけ流していってくれたのかもしれない……。
だから、今度はオレの番だ!!
アイツらの中に見え隠れする不安を、オレが何とかしてやりたい……。
翔、優……ありがとう……。
オレは強くなるから……。
河童にとって湿度高い雨の日は気分最高。
人間にとっては善し悪し、
半端者にとっては気分最悪……。
でも、そんな雨の日の出会いに感謝したい……。
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