第60話
多くの女性魔術師が、ベン皇子とリドル皇子を抱きあやし授乳する、カチュア皇妃に魔法を教えた。
皇国はベン皇子に魔術を習得させたいのだが、それはまだ秘密だった。
全女性魔術師を完全に囲い込み、秘密を守らせることができるようになるまでは、公表することができないのだ。
女性魔術師は、全員一度は誰かに授業をさせられる。
だいたいは戦闘侍女が多い。
一番の理由は、教える能力があるかどうかの確認だ。
魔術の使い手としては優秀でも、教える事が苦手な者も多い。
二番目の理由は、戦闘侍女に魔術の特性を学ばせるためだ。
後宮が魔術師に襲撃される可能性も考慮して、対魔術師戦の訓練でもあった。
色々大変な女性魔術師だが、実際にカチュア皇妃に魔術を教えた者全員が、カチュア皇妃の才能と覚えの速さに驚嘆していた。
まずカチュア皇妃の魔力量が異常なほど多い。
初級下の魔術師の魔力量を一とすれば、百億倍はあるのだ。
歴史上最も魔力量が多いと言われている、伝説の魔術師を上級上の魔術師としているので、現在確認されている魔術師の最高位は、上級下の魔術師が一人、中級上の魔術師が一人いるだけなのだ。
それとカチュア皇妃が魔術を習得する速さも異常だった。
教師役の女性魔術師が、一度口で説目して手本を見せるだけで、即座に再現してみせるのだから、その天才ぶりが女性魔術師の間で評判となった。
全ての女性魔術師が、夢中でカチュア皇妃に魔術を教えた。
生活魔法に始まり、各種支援魔法に防御魔法、最後に攻撃魔法を教えた。
カチュア皇妃はそのすべてを完璧に覚えてしまった。
老齢の中級下女性魔術師が最高位の、サヴィル王国女性魔術師団には、もう教える事がなくなってしまった。
「皇帝陛下、どうかカチュア皇妃陛下に男性魔術師の教師をお付けください。
カチュア皇妃陛下の才能は桁外れです。
このまま埋もれさすのはもったいなさすぎます。
カチュア皇妃陛下ならば、伝説の魔術師が使われたという、大魔法を再現する事も可能でございます」
サヴィル王国女性魔術師団の団長に就任した老齢の中級下女性魔術師が、命懸けでアレサンド皇帝に直訴していた。
命を賭けてもいいと思えるほど、カチュア皇妃の才能は素晴らしかった。
だが、彼女はまだ知らなかったのだ、アレサンド皇帝のカチュア皇妃に対する溺愛ぶりを。
「魔力量の比較」
初級下:一
初級中:一〇
初級上:一〇〇
中級下:一〇〇〇
中級中:一〇〇〇〇
中級上:一〇〇〇〇〇
上級下:一〇〇〇〇〇〇
上級中:一〇〇〇〇〇〇〇
上級上:一〇〇〇〇〇〇〇〇
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