第41話 ヤバいですね
「明日で最後、か」
不死者は大分減ったのだろうか?
それとも、まだまだいるのだろうか?
「名残り惜しいの……いや……」
キース君は、俺の肩に止まると、
「ホダカ、お主……この国を、いや、世界を救う気はあるかの?」
世界を救う気があるか?
決まっている。
「当然だ」
「くく……断言しよるか……なら……」
キース君は、俺を見ると、
「我に遺された時間も分からぬ。これも何かの縁……ホダカよ、そなたに話が有る」
「聞こうか」
「それでは、語ろう……ホダカよ、この世界はな……滅びを内包している……」
「あ、その辺マキで。災厄の件は知ってるから」
「何故知っておる?!まさか……他の者の協力者……そもそも、その力……勇者か?!」
「ああ。隣国、グロリアスの王女、エメラルド姫の勇者だ」
「いや……別に勇者は個人のモノでは無いのだが……ともかく、災厄の話は飛ばして良さそうではあるな。無論、口伝てである以上、王家によって内容に齟齬は有ろうが……」
キース君は、瞳に力を込め、
「では、何故この国が滅びたかを」
「あ、オラリドゥの暗躍と、王女マリア様の悲劇も知ってるから」
「何故知っているのかね??!」
システムに聞きました。
「世界を構築する仕組みに聞いた……それで答えになるかな?」
「むう……」
キース君が唸る。
「では、オラリドゥへの対処方法も?」
「いや、それは知らない」
「……まあ、エメラルド姫にも聞いて貰うか……奴は苦手ではあるのだがな」
あれ、エメラルド姫が苦手って……?
正義感と慈愛に溢れた良い人だよね?
<称号『良心が服を着たようなエメラルド姫を苦手視するとは……この蝙蝠野郎、ヤバいですね』を獲得しました[1]>
確かに。
<称号『むしろ服を着ないでも良いですよね』を獲得しました[1]>
いや、着ようぜ。
--
「ホダカ、お帰りなさい。あれ……その蝙蝠さんは?」
「ああ、こいつは新しい相棒の──」
ぽむ
キース君がいた位置に煙が。
そして煙が晴れたら、そこに美少女がいた。
白髪、紅い目、尖った耳。
黒いドレスに、純白の蝙蝠の羽。
ヴァンパイアクイーン……
「……マリア?」
「久しいの、エメラルドよ」
?!
キース君、何処に行った?!
そして、ラスボスの筈のマリア姫、何故此処に?
落ち着け、クールになれ、火鷹。
<称号『そうですよ。下手に刺激するとキース君が危ない。此処はマリア姫の出方を見ましょう』を獲得しました[1]>
うむ。
「妾の咎は、聞いておるな?」
「……はい。オラリドゥの暗躍のせい、ですよね」
「……変わったな、エメラルド姫。以前のお主であれば、妾を気遣うなど、想像もできぬ」
「私も、ダークロードの暗躍で……王家を滅ぼしましたから。この勇者様……ホダカのお陰で、目が覚めました」
旧友、なのだろうか。
とりあえず、マリア姫とやらが暴れた時に備え、後ろ手にヴァンパイアコロリを握る。
ヴァンパイアクイーンにも効くのかな?
「エメラルド姫、そしてホダカ殿。我が王家に伝わりし、オラリドゥへの対処方法……それを伝えよう」
マリア姫が教えてくれるの?!
マリア姫が、とつとつと、オラリドゥへの対処方法を語り始めた。
……またオラリドゥも修行で克服とかしていないと良いけれど。
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