16:厚遇
翌日、朝は何とか起きたものの、8時間寝たのに全く疲れが取れないどころか、徹夜した日の夕方並みのだるさだった。
「お、おはよう……。」
フラフラしながらソファに倒れこんだ舞莉。
「ちょっと、パン食べないの?」
「ダメ……体がだるすぎるし、なんか気持ち悪い。」
「昨日の夜も食べなかったけど、具合悪い?」
舞莉はか細い声で「うん」と言った。
その日、学校にも部活にも舞莉の姿はなかった。
「舞莉、麦茶持ってきたよ。」
胃痛と腹痛、激しい体のだるさで起き上がれなくなった舞莉に、バリトンがコップについできてくれた。
「ありがとう。」
「もどした時は特に脱水になりやすいからね。」
バリトンに支えてもらいながら起き上がって、少しずつ口に流しこむ。
ちなみにカッションは寝ている。その代わり夜中はずっと起きていて、トイレに駆けこんだ舞莉の背中をさすってあげていた。
「熱はないのに、まるで熱が出た時のようにぐったりしてる……。」
バリトンは分厚い本をパラパラとめくって、『心の病』の小見出しのページを見ている。
「そっか……ストレスで胃が荒れちゃうんだね。肩や腰の痛みは、バリサクを吹いてるからってことだけじゃなくて、極度のストレスが原因でもある……か。」
他のいくつかのチェック項目を見ると、そのほとんどに舞莉の症状が一致していた。これはほぼストレス性のものであろう。
午後になって少し回復した舞莉は、バリトンが作ってくれたおかゆを口に運ぶ。昨日の夕食で残した白飯で作ったらしい。
「至れり尽くせりでごめん。」
「いいんだよ。僕にはこれくらいしかできないから。」
学校を休んだことで、今日の授業の内容や明日の連絡が書いてある『連絡カード』が家に届いた。
仕事から帰ってきた母からそれを受け取って、自分の部屋で見た。
書いてくれたのは隣の席の人らしい。
「おう、何見てんだ?」
カッションが起きてきた。
「今日やったことと明日の連絡が書いてある紙だよ。」
と、バリトンが答える。
「明日の連絡……球技大会なんだね。」
舞莉がつぶやいた、その時。
「うぅっ!!」
お腹に手を当て、崩れるように倒れた。
「舞莉!!」
カッションとバリトンは慌てふためく。
「おい、どうしたら……! か、か、母さん呼んでくるか⁉︎」
立ち上がったカッションに、舞莉はゆるゆると首を振る。
「大丈夫。いつもよりちょっと痛いだけだから。」
舞莉は手をついて起き上がる。
「ほら、もう大丈夫。」
そう言う舞莉だが、やはり玉のような汗がふき出ている。
自力でベッドに行き、体を横たえる。
トン、トン、トン……
階段を上ってくる音に、精霊たちは急いでスティックとストラップに宿った。
ノックもせずに、母が入ってきた。
「舞莉、明日から当分、学校休もう。」
「え?」
「だって、ただ風邪をひいたってことじゃないんでしょう? またルイザ?」
「うん……。ルイザだけじゃなくてクラスの人もだけど。」
「やっぱり……。」
母にはお見通しだった。
「まぁ、舞莉も、舞莉だけどね。授業中なら分かるけど、楽器吹きながらはダメだわ。」
「あのね、寝たくて寝てんじゃないの!」
自分で叫んで、またキュッと胃が痛んだ。
「お母さんが舞莉の部屋を見にきた時はちゃんと寝てるけど、そうじゃない時はまた本読んだりして夜更かししてる――」
「してない! ……してないったら……!」
涙声で言い返された母。
「してないのね?」
「何度言ったら! してないよ!」
ため息をついた母は、どこか面倒くさそうだった。
「じゃあ、何で授業中とか部活中に寝てるだけで、あんな言われようなの?」
「知らないよ! ルイザは『目障りだから』とか『また活動停止になるから』って言ってたけど!」
2回目のため息をつく母。
「どれも根拠がないことなのよ。意味わかんない。」
舞莉のもとへ来た母は、布団をかけ直してあげた。
「今は傷が癒えるまで、ちゃんと体を休めて。生活に支障をきたしてるから。」
「……私のこと、疑ってる?」
「そりゃあそうよ。自己管理のなさでこうなってるとしたら、自業自得なんだから。」
母は、「ゼリー買ってきたから、食べたければ食べていいよ。」と言い残して部屋を去った。
この苦しさを、まだちゃんとは理解してもらえてない感じ。どうやったら分かってもらえるんだろう。
……当事者になってみないと、分かってくれないんだろうなぁ。
ようやく舞莉が寝つくと、カッションとバリトンはひそめ声で話し合っていた。
「どうしたら、また元の舞莉に戻ってくれるんだろう? あの時のキラキラした顔の舞莉を……。」
舞莉との初対面の時を思い出して、バリトンは軽く丸めた手をあごに持っていく。
少しの沈黙の後、カッションが口を開いた。
「俺としては、今舞莉がこうなってるのって、ルイザたちのせいもあるけど、自分との葛藤もあると思うぞ。」
「自分との葛藤?」
「舞莉自身、寝たくないのに寝ちゃうことに悩んでる。前言ってたけど、『自分でも嫌になる』ってな。」
カッションの言葉に、バリトンは大きくうなずいている。
「そうだったね。それなら悩みに寄り添えばいいのかな。でも、そこまでひどいとやっぱり病気……?」
バリトンはあの分厚い本をめくる。
「バリ、何か知ってんのか?」
「えっと……過眠症……っていうのがあるらしいよ。」
バリトンは、背表紙に貼りつけておいた付箋を見ている。実はこっそり調べてあったのだ。
「居眠り病……ナルコレプシー……か。バリ、こんなのいつ調べたんだよ?」
「ま、まぁ。」と、にごすバリトン。
「もし病気だって分かったら、少し心が軽くなるかもしれないから。」
「そうかもな。俺も調べてみる。ルイザたちのこと考えてるとイライラしてしょうがねぇし。」
普段は、細かい文がズラズラとあるものは読まないカッションだが、舞莉のためなら動くらしい。
「じゃあ僕はもう寝るから、朝まで舞莉の見守りよろしくね。」
「ああ。その本借りるぞ。」
「オッケー。」
2人の精霊は、こぶしをぶつけてにやりと笑う。
結局 春休みに入るまでに、舞莉が学校に来ることはなかった。
3月も最後の週となった。舞莉の体調はほぼ良くなり、過呼吸になることもなくなった。
「それでさ、舞莉。パートナーの僕からちょっと言いたいことがある。」
バリトンの優しそうな目つきが、いつになく鋭い。
「やっぱり……居眠りしちゃうのって、病気なんじゃないかって。」
卒業式の日、ルイザから言われたことが頭をよぎる。
「本当はもうちょっと前から思ってたんだけど、ルイザのこと思い出してつらくなっちゃうかなって思ったから。」
「……やっぱり、そう思ってたんだ。バリも。」
2つ結びの癖がついていない髪の毛のせいで、下を向いた舞莉の顔が見えない。
「いいの。病気だったら病気でいい。どれだけ生活リズムを整えても治らないから。でも……ルイザたちは理解してくれる?」
今回の件ですっかり人間不信になってしまった舞莉。
「『病気なら』って理解してくれると思うよ。吹部が活動停止になることもないだろうし。」
「でも、あいつらは私を馬鹿にする! 私を病人扱いして、またどうせ『眠り姫』って言ってからかう!」
顔を上げた舞莉の顔は、涙でぐちゃぐちゃになっている。
「そこは、先生が――」
「先生だって信用できない! 担任だって『学校に来い』って催促するだけだし、私に寄り添おうなんて気持ちが微塵もない! 私が学校に来なくなってどう思ってるか! ……ざまぁみろって思ってる奴だって絶対いる!」
「舞莉!!」
バリトンが初めて、舞莉の前で怒鳴った。
「そういう人はいるかもしれない。でも、舞莉を心配してくれてる人だって必ずいる。」
舞莉はハッとした。
「舞莉が助けた大島先輩、あの時舞莉を心配してくれた浅木先輩、同級生だと司もそうだと思うよ?」
そっか、そうかもしれない。
県大会の時……私がパーカスで高良先輩からいじめられてたころ……あんなこと考えてた。金賞を取って喜んでる先輩たちを見て。
忘れかけていたけど、自分に優しくしてくれた先輩もいたんだった。先輩だけじゃなくて、同級生にもそういう人がいるかもしれない。
ピーンポーン
インターホンが鳴り、母が舞莉を呼ぶ。
「たぶん、ルイザだよ。」
その言葉に、舞莉の背筋が凍りついた。
気持ちの整理がついた今なら……大丈夫。
舞莉は玄関のドアを開けた。
「久しぶり。体調はどう?」
ルイザは入学したころの柔らかい口調で話しかける。
「ここ数日は大丈夫。」
「そう。よかった。あの……。」
一瞬目をそらして、また舞莉の方を向いた。
「舞莉にあんなにキツく言ってごめんなさい! もう、責めるようなことは言わないから!」
……え? 謝ってきたんだけど。
「だから、もう学校は終わっちゃったけど、部活に来るの待ってるよ。みんな、舞莉のこと心配してる。」
みんな、かぁ。
「ルイザ、あえて言わせてもらうけど。」
舞莉は意志を伝える時の、はっきりした声で言った。
「私はこの件も相まって、人間不信になった。教室にも部活にも居場所がない。先生に相談しても『早く寝なさい』くらいしか言われなくて、根本の解決方法しか先生は頭にない。先生は気持ちに寄り添ってくれない。居眠りで1番嫌な思いしてるのは私なのに。……この状況、分かってくれる?」
ルイザはうなずく。
「今謝ってくれたことも、全ては信用してない。誰かから『謝ってこい』って言われて家に来たのかもしれない、っていうほど疑ってる。でも、謝ったことが本心であっても嘘であっても、私に謝ってくれたっていう事実は消えない。言葉にして謝った以上、ルイザには言葉の『責任』を持ってほしいの。」
鋭く、舞莉の視線がルイザに突き刺さっている。
「それでも、本当に『責めるようなことは言わない』?」
「言わない!」
そ、即答したよ。
「……忘れないでね。いつ部活に行くかはゆっくり決めるから。それじゃあ。」
舞莉はドアを閉めた。
また自分の部屋に戻ろうと廊下に立つ。
階段付近には、バリトンと寝起きのカッションがおり、2人の向こうには母の姿もあった。
「聞いてたんだ。」
「たまにはまともなこと、言うのね。」
「なに、言う時は言うよ。」
母に言い返してから、舞莉は精霊たちの肩を叩いて階段を上がる。
次の週。
「カッション、バリ。明日の準備登校から学校行く。」
「舞莉!」
2人の顔がぱっと晴れる。
「明日、新しいクラスが発表されるらしいの。最初は1年の時のクラスに行くらしいんだけど、すぐに発表されるみたいだし。」
「それで……部活には行くのか?」
言いづらそうに、カッションが尋ねた。
「朝練は行かない。まぁ、あるかどうかも分からないからね。予定表では、明日は2時から部活あるらしいから、部活には行く。」
カッションの目がうるうるしている。
「よかったぁ!!」
「それなら舞莉、今日の夜からセグレート練習再開しようか。3週間まるまる吹いてなかったから。」
不登校の期間、舞莉がセグレートに行かなかった理由は、セグレートが学校の音楽室とそっくりだからである。
舞莉はバリトンの提案に、久しぶりの笑顔で返した。
久しぶりのバリトンサックス。
『1日吹かなければ、取り戻すのに3日かかる。1週間吹かなければ取り戻すのに1ヶ月かかる』と言われる中、舞莉はどうだったのか。
始めこそはアンブシュアを忘れていたが、ロングトーンを1往復すれば元の感覚を取り戻すことができた。
指の感覚は、半音階の練習は少しつまったがほぼ元どおり、アルペッジョ練習(16分音符のオンパレード)は7割取り戻せた。
「あぁ、やっぱりブランクが……!」
そう言う舞莉だが、カッションやバリトンから見れば「いやいや、それでもすごいよ」というレベルなのだ。明日部活で練習すればほとんどを取り戻せて、コンクール曲の『クシナダ』の練習に取りかかれそうなほどである。
今度は、セグレート練習を止めてから叩いていなかった、ドラムもやってみた。
「やばい、何か手首が固い!」
最初はそう言っていたが、叩いているうちに手首がほぐれてきて、ブランクを感じさせないほどになっていた。
「舞莉って、ホントにすげぇな。」
「どうしてここまで早く戻ってこられるんだろう? もう、才能だよね。」
2人の精霊は首を振った。
バリトンは思った。
他人から邪魔されなければ、舞莉に眠っているとんでもない才能が開花するのではないのかと。
そして、目覚める前に芽を摘み取ってしまう人を、どうにかしなければいけないことを……。
次の日、舞莉は緊張の面持ちで通学路を歩いた。
私には見えない後ろに歩いてる人、私が不登校だったことを知っているのだろうか。知っていたら、前に歩く私をどう思っているのだろうか。
いやいや、そこまで私に興味ないか。
危ない、危ない、被害妄想ダメ。
相変わらず全開のドアから教室をのぞき、舞莉は入っていった。
あれ、意外と大丈夫そう。
「あ、来た。」
聞こえた声も、私に向けてだろう。でも、「来てしまった」というトーンではない。
入学式の準備が終わり。舞莉は音楽室をのぞいてから入った。
「……あっ!」
入り口の近くにいた高松先輩と浅木先輩が、舞莉に気づいた。
「ひばるん来た! 来たよ!」
「よかった! おかえり〜!」
2人から肩を叩かれながら、舞莉は席に向かう。
なんと、舞莉の席が用意されてあった。
「今日ね、ひばるん来ると思ったんだ!」
と、浅木先輩。
「舞莉ちゃんだ!」
「舞ちゃん来た!」
「久しぶり〜!」
他の先輩からも、舞莉への言葉が投げかけられる。
緊張の糸がほぐれた。
それぞれの先輩に会釈をする舞莉の目が赤くなっていた。
「ひばるん、どうしたの〜! 泣かないでよぉ!」
頭をポンポンされ、舞莉はバッグを置いて顔を覆った。
「あー、浅木、舞莉ちゃん泣かせたー!」
「わ、私じゃないし!」
ただ、嫌な顔をされなければよかった。それはおろか、自分の帰りを待ってくれていたなんて。
「1番は明石だよ。必死に『舞ちゃんはいい子だから、悪く言わないで』ってうちらに言ってくれたんだから。」
「妙先輩がですか?」
この場に彼女の姿はないが、舞莉は後でお礼をしなければ、と思った。
他の同級生は、舞莉など見向きもしなかった。いてもいなくても変わらないのだ。
舞莉は3週間ぶりに――昨日触ったばかりの――ケースを開けてバリサクを持つ。
「舞莉ちゃん、来て早々悪いんだけど、楽譜渡しとくね。」
古崎先輩の手には、ざっと10枚くらいの楽譜があった。
「わっ、すごいですね。」
「今月末の4月29日の土曜日、スポーツフェスティバルの開会式で演奏することになったから、その楽譜だよ。」
「ほ、本番まで1ヶ月切ってますけど……!」
水明祭や三送会より曲数も多く、練習期間は約3週間。他の人たちはそれでも大丈夫なのだろうが、何と言っても舞莉はバリサク歴5ヶ月。そのうち3週間は何も吹いていないブランク状態。
「あと、開会式終わった後に、この間みたいに発表するから。それは全部暗譜だって。」
ま、マジですか。
驚いて、ついに声が出なくなる舞莉。
「舞莉、これはやべぇぞ。」
吹部バッグのスティックから、
「相変わらずの無茶振り。」
首元のストラップから、
「あと……3週間で。」
赤メガネの舞莉が、
ため息をついたのだった。
『よし、とりあえず基礎からやろう。』
久々のパート練習は、もはや個人練習になっていた。
音出しの段階で、長く吹いていないと出にくくなる最低音『ラ』を太く一発で出してみせる。
舞莉は半音階の練習とアルペッジョ練習を始めた。
クリップ式の電子メトロノームを鳴らしながら、舞莉はあたかも毎日練習していたかのように、滑らかに吹いていた。
メトロノームの拍にもぴったりと合っている。
『基礎は大丈夫そうかな。昨日もやったし。』
今度は譜読みに取りかかる。シャーペンで音符の下に階名をふっていく。量が量なので、全てふり終わるまでに30分かかった。
隣の古崎先輩が練習していた『桜color』をさらってみる。
『最初はのばしだから大丈夫。ここのテヌートとアクセントは注意かな。』
舞莉は2つの記号に、オレンジの蛍光ペンで印をつける。
『Cからサビだよね。じゃあその前のBから。』
ほぼ指定のテンポ(117)で、おまけにスラーもしっかりつけて吹けていた。
「えっ、すご。」
かすかに聞こえる古崎先輩の声。
聞こえなかったふりをして、首元のバリトンに尋ねる。
『バリ、Cの1小節前ってこのリズムで合ってる?』
舞莉は頭の中でカウントし、そこの部分を吹いた。
「……うん、合ってるよ。他に分からないところは?」
『他はほとんど簡単だから大丈夫。』
今度は『桜color』を通しで吹いてみる。
2回つまったが、舞莉は今すぐにでも合奏に参加できるくらいのレベルまで吹けていた。
『このペースでいかないと、暗譜まで間に合わない。』
舞莉は『マーチ「春風」』の楽譜を取り出す。
「舞莉ちゃん。」
古崎先輩に話しかけられた。
「もう『桜color』吹けるようになったの?」
「まぁ、何となくは。」
「マッピ持って帰って吹いてたってことは――」
「してないですね。」
「えぇっ……?」
舞莉は特技の、顔の表情から感情を読み取ってみた。
驚きの中に、恐れや迷いも見受けられた。
何を恐れて、何に迷ってるんだろう……?
2月くらいに、舞莉と古崎先輩と浅木先輩で話したことを思い出した。
「古崎、もっと音量出せるだろ?」
『前前前世』のサビを指摘する浅木先輩。
「うーん、これくらい?」
「何か違う。ほら、バリサクってもっと太い音じゃない? あっ、背もたれに寄りかってるからだ!」
浅木先輩は自分の座る椅子を指さす。
「座る位置は、椅子の3分の1! 背筋を伸ばして!」
「えー、このままがいい。」
確かに古崎先輩の音は、優しい音でどの音域もムラなく出せることが良いと、バリトンは言っていた。が、この曲のようにテンポが速いと、息のスピードを速くしないと拍にはまらなくなる。
古崎先輩の姿勢では、息が入れづらいのだ。
「ひばるん、前前前世のサビから吹いてみて。」
「は、はい。」
舞莉がそこを吹くと、「ほらほらほら〜」と浅木先輩に指をさされる。
「ひばるんの方が音量出てるよ! 古崎、うかうかしてると、元パーカスのひばるんに抜かされるぞー!」
もしかして、そういうこと?
いやいや、さすがに抜かすことはないでしょ。
舞莉は首をかしげ、『マーチ「春風」』の練習に取りかかるのだった。
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