いつも一緒だったのに。

くろねこどらごん

一学期

僕には二人の幼馴染がいる。

霧島綾乃（きりしまあやの）と月野渚（つきのなぎさ）という同い年の女の子だ。

綾乃は肩にかかるくらいのセミロングの黒髪で、スタイルも良く顔立ちもとても整っている女の子だ。とても世話焼きで料理上手であり、成績も常に上位と非の打ち所がない。

そのうえ気取ることなく誰にでも優しく接する性格で男子からの人気は絶大だった。こうまで完璧だと女子から嫉妬もされそうだが、そうならないのは彼女の親友であり、僕のもう一人の幼馴染の存在が大きいと思ってる。

背中まである流れるような金色の髪を靡かせ、常に自信をのぞかせる母親譲りの綺麗な碧眼。どこか浮世離れした雰囲気を持ちながら口を開けばとても明るく、誰とでも打ち解けられてすぐに皆の中心になれる。月野渚はそんな女の子だった。

女性としては少し高めの身長と豊かな胸を持ち、気軽にスキンシップもする渚は男女共に人気があって人望も厚いため、学年問わず多くの生徒に好かれている。

その容姿は綾乃にも引けを取らず、いつも一緒にいることから学園の二大天使なんて言われているとか。

そんな幼馴染を持つ僕―水瀬湊（みなせみなと）は至って普通の人間だった。

友人はそれなり、運動も勉強も平均より多少上程度。容姿は褒められることはあるけれど…男として見られているかは疑問なところだ。

小さい頃から二人とはずっと同じ時間を過ごしてきたし、他の誰よりも彼女達のことを理解してると思う。

だけど…

いつからだろう。二人に劣等感を持つようになったのは。

いつからだろう。二人から離れたいと思ったのは。

取り柄もなく、胸を張れる長所のない僕には彼女達は眩しすぎて…

本来なら好意を持つだろう幼馴染に抱いた感情は、苦痛だった。

だから、きっとそれは必然だったんだと思う。ただきっかけがあったから僕はそれに手を伸ばしたんだ。

それが僕達の関係を壊すと、分かっていたのに

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