第20話 デート【withあーちゃん】①
朝がやって来ました。
私はすぐにベッドから起き上がると、洗顔や朝ご飯などやることを済ませ、決めていた洋服に着替えます。
あの後、あれから約二時間くらいかかりましたが、やっとしっくりくる洋服が見つかりました。
白の半袖オフショルに黒と白、灰のチェック柄の七分丈スカート。頭にはニット帽。
これなら、りょーくんをドキッとさせること間違いなしです。
自分でもいうのもなのですが、この肩出しには今まで抵抗感がありました。人前で肩を大胆に露出させるなんていやらしいにもほどがあります。
でも、りょーくんのハートを射留めるのは別です。
私はりょーくんが手に入るのであれば、なんだってする覚悟です。
この洋服であれば、可愛いし、肩とか鎖骨、首回りが見えて、心がときめくはず。
「あらあら、綾乃ったら張り切っちゃって」
いつの間にか部屋に入っていたお母さんが顔をてかてかにしながらそう言います。
「そ、それは……も、もういいでしょ! からかうのやめてよお母さん! というか、ノックしてないでしょ?!」
「うふふ……ごめんごめん。じゃあ、私はそろそろお夕食の材料でも買いに行きましょうかね」
お母さんはそう言うと、「ちゃんとボディタッチは忘れずにね!」と部屋を出る間際にアドバイス的なことを告げて、出て行きました。
「余計なお世話ですっ!」
私はドアに向かってそう叫びました。
☆
「行って来ます」
私はそう言って、家を出ました。
りょーくんとは特に待ち合わせ場所は設定していません。そのため、私はりょーくんの家に直接向かいます。
ピンポーン。
インターホンを押します。
「はいはーい……あれ? あーちゃん?」
りょーくんのお母さんが玄関ドアから現れました。
未来のお義母さん……失礼のないようにしないと。
「あ、えーと……こ、こんにちは! りょーく––––亮介くんはいますか?」
「ああ~そういうことね……うふふ。青春っていいわね~」
りょーくんのお母さんは羨ましそうな表情をして微笑みます。
「え、えーと……」
「あら、ごめんなさいね。今から亮介を呼んで来るから少し待っててくれる?」
困惑している私に気づくと、りょーくんのお母さんは再び家の中に戻って行きました。
そして、それから数分後。
「ごめん、待たせたな」
玄関からりょーくんが現れました。
「ううん、私もさっき準備が終わったところだから」
私はそう言って、ニコッと微笑みます。
女子は暗い顔よりかは常に明るく笑顔な子が男子にモテると聞いたことがあります。
りょーくんもどこか顔が赤くなっているような気がありますし……効果てきめんなのかな?
「ね、ねぇ、りょーくん……突然、なんだけど……今日の服装どう、かな……?」
私はりょーくんに感想を求めます。その際、上目遣いも忘れません。
正直、簡単に訊いているように見えますけど、実際はとっても緊張して、心臓がドキドキで鼓動が聞こえてるんじゃないかってくらい大きいです。
顔も熱くなっているのを感じるあたり、顔が赤くなっているのかもしれません。
私はそんな赤くなった顔を見られたくないので、少し俯き加減になります。
「に、似合ってる、と思うぞ……?」
りょーくんは目線を逸らして、頭を掻きながらそう言います。
「あ、ありがと……」
こんなこと改めて言われると、恥ずかしいものです。
私は顔をしばらく上げることができませんでした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます