【ホラー?】「屋敷」「ケータイ」「電気」
「ねぇ、今日も知らない人が土足で上がり込んできたよ~?」
「男の子が四人いたわね。人の家に入る時は靴を脱ぐこと、ってお母さんに教わらなかったのかしら」
「ルールを守れない男ってキラーイ」
「だからちゃんと注意したじゃない。『人の家に勝手に入っちゃダメよ』って」
「『次に来る時は菓子折り持って謝りにきて~』って、親切にアドバイスまでしてあげたのにぃ」
「悲鳴を上げて逃げ帰っちゃったわね」
「意気地がない男ってダサーい」
「あなたの男に対する判定はいいとして、やっぱりこの屋敷も老朽化が激しいから取り壊さなきゃ駄目かしらね」
「こーんな街の外れにこーんなボロ家が建ってたら、格好の肝試しスポットになるに決まってるじゃーん」
「さすがに何の修繕もしなければ耐えられなくなってきたものね。あら、停電?」
「またぁ? 電気すらまともに点かないんじゃいよいよヤバくなーい?」
「はいはい。いいから、そこに落ちてるケータイ拾って電源入れて」
「しょうがないなぁ」
「もう少し右側を照らしてくれる? そうそう、ありがとう」
「できた~?」
「ええ、これで大丈夫よ」
「も~、こんなに住みにくいんだから、早く引っ越そうよぉ」
「そうね。そろそろ次の場所を探す頃合いかしら」
「さんせーい。次はねぇ、綺麗で静かな家がいいな~」
「家人があまり帰ってこない家ってこと?」
「そーそー。その方がのびのびできるじゃーん」
「確かにね。じゃあ次はその条件に当てはまる家を見つけましょう」
「わーい!そうと決まれば早く行こ!」
「せっかちねえ……」
その日以降、住宅街から離れたところに建っている寂れた一軒家から、いるはずのない人の声が聞こえることはなくなった。
そして、どういう経緯があったのか定かではないが、いつの間にか件の屋敷は跡形もなく取り壊されていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます