33
***
クリスマス。
どのお店もクリスマスソングが流れ、それっぽいイルミネーションもたくさんだ。
街全体がウキウキとしているような気がして、私の顔も自然とほころぶ。
毎年この時季はウキウキするけれど、普段通りの生活をするか、出掛けたとしても未菜ちゃんと一緒にという事ばかりだった。
まわりを見渡して、世の中にはこんなにもたくさんのカップルがいるのかと嘆いたりもした。
でも今年は違う。
私の隣には瞬くんがいる。
「結衣、楽しそうだね。」
「うん、すごく楽しい!」
満面の笑みで答えると、瞬くんは大人っぽく柔らかく笑った。
何だか自分だけが子供っぽくはしゃいでしまったのではないかと思って気を引き締めたけど、おもむろに手を繋がれて甘く笑うので、私の気は一瞬にして緩んだ。
あったかくて大きな手に包まれて、二人の距離もぐんと縮まる。
嬉しい。
嬉しい。
嬉しい。
すごく恋人っぽい。
密かに感動していると、繋いでいた手がほどかれ、今度は指と指を絡めるようにしてまたぎゅっと繋がれた。
こ、これはもしや恋人繋ぎってやつなのでは?
恐る恐る瞬くんを見る。
「ん?どうした?」
私を見つめる視線が甘すぎて、キュン死しそうになる。みるみる真っ赤になる顔で私は思わず呟いた。
「もう死んでもいい。」
「えっ?!」
慌てた瞬くんだったけど、嬉しくて幸せなことを説明したらお腹を抱えて笑った。
つられて私も笑ったら、もっと幸せな気持ちになった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます