お付き合い

29

クリスマスが近い。


「結衣、予定は?デートしよ。」


自分が誘う前に瞬くんから提案されて、私は心が浮わついている。ちょうど保育園でもクリスマスの飾りやペーパークラフトを作成したばかりで、クリスマスのことで頭がいっぱいだ。明日くらいから園児たちにもクリスマスカードを作るように指導するところで、頭の中でジングルベルと勝手に歌い出してしまう。


嬉しい。

瞬くんとクリスマスデートだ。


浮かれ気分のまま出勤し、思いきり子供たちに突っ込まれた。


「ゆいせんせー、なんかうれしそう。」


そうなの、嬉しいことがあってね、いや、これから嬉しいことがあるんだけどね、なんて話したくなる衝動を抑えて、私はごまかすように笑う。


まったく、クリスマスにデートしようと言われたくらいでこんなにも浮かれるなんて。

あり得ないと思いつつ、これが現実だ。

いくら歳を重ねて大人になったって、嬉しくて叫びたくなる気持ちは子供と一緒なのだ。


嬉しい!

嬉しい!

嬉しい!


だけど今は仕事中。

自然と顔が緩みまくっていたことに気を引き締め直した。

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