26

何だかもうドキドキしすぎて、ふわふわした気持ちで食事をした。

そこでも支払いは瞬くんが済ませてくれていた。


「瞬くん、お金…。」


「デートだから、奢らせて。」


「でも…。」


「じゃあ次のデートのときは結衣が奢って。」


次って…。

次もあるの?


そう淡い期待をしながら、私はコクリと頷いた。

瞬くんは満足そうに笑った。


その後は瞬くんの運転する車で、夜景の見える公園へ連れてきてもらった。

こんなの、本当にデートじゃないか。

私はドキドキしながらもどこか浮かれ気分になる。

実は男の人とデートらしいことをしたことがなく、こんなにときめく体験は初めてなのだ。


「うわ~、綺麗!」


少し小高い展望台のような所から街並みが見渡せ、キラキラと宝石のように輝いて見えた。

私はスマホを取り出してその夜景の写真を撮ってみた。カシャッと良い音が響くが、撮れた写真はずいぶんとお粗末なものだった。


「夜景って上手く撮れないね。」


「そうだね。フラッシュをたかずに、シャッタースピードを少し遅くするといいかな。」


私が首を傾げると、瞬くんは私のスマホを覗きこみ、長い指でしゅるしゅるとカメラの設定をいじった。どんな設定にしているのかよく分からなかったけど、それよりも覗きこんだ瞬くんの顔が近すぎて、そっちに緊張してしまう。

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