11
「家の説明は口頭より実際見た方が早いだろう。少し動き回るが大丈夫か?」
「うん、大丈夫そう。もししんどくなっちゃったら言うね」
「分かった、そうしてくれ」
ゲイルの部屋は1階で、先程ご飯を食べた場所の隣だった。
マリーの部屋は2階なので気を使う事は無い、と言う。
その奥にもう1つ部屋が有りそちらは物置になっていた。
キッチンの下に地下へ続く梯子が有り、それを降りると食料庫になっていて冷蔵庫もあった事には驚いた。
お風呂は外の別小屋に有る
なんと天然温泉なのだ、それはそれはもう喜んだ。
まさか異世界に来て温泉に入れるだなんて!
しかも毎日だ。贅沢この上ない。
元の世界での電気によって動かされる物は、魔力を使って動かしているらしい。
この家に有るものは魔力補充式なので、ゲイルが定期的に補充をしている。
その為、私でも簡単に使う事が出来る。
至れり尽くせり過ぎませんか?
神様、仏様、ゲイル様~
と拝んでいたら、ゲイルに変な顔をされた。
家から外に出ると、周りは何メートルか空いてぐるっと柵で囲まれていた。
そこから先は正に森だ。
少し整備された道が有り、そちらを進むと街に出る
さらに、裏の方の道を歩くとあの湖があるらしい。
外に出るのは何だか久し振りな気がして、新鮮な空気を胸いっぱいに吸い込む。
キラキラと日に浴びた緑葉が美しい
外から見ると緑の蔦が這っている、とても魔導師が住んでいそうな雰囲気の有る家だった。
鼻の長く尖っている鍋をグルグル回していそうなお婆さんが住んでいそうだ。
決して、美青年が住んでるなんて思わない。
感心しているとアレンが帰って来た。
『帰ったぞ、マリー身体は平気なのかえ?』
ゲイルもアレンもとても心配性だ。
余り誰かに心配された経験が無いので、嬉しいけれど何だかむず痒い。
「歩く位なら大丈夫な様です、アレン様優しいんですね」
『それは良かった。
そんなに畏まらなくても良い、我の事もアレンと呼ぶが良いぞ』
「良いんですか?」
『良い、我だけ仲間外れは
ちと寂しいのだ』
「では、アレン
おかえりなさい」
「おかえり」
『うむ、2人共仲良くしていた様で何よりじゃ』
「あ、アレン葉っぱが付いてる
触っても良いですか?」
『良いぞ、どの辺かの』
「背中です、後ろを向いて下さい」
取りやすい様にアレンに後ろを向いて貰い
その背に付いていた葉っぱを取り
少しだけ払うように撫でた
『…マリーの手は何とも心地好いな。
癒しの魔力を感じる』
そう言ってアレンはマリーの手に頬擦りする様に身を寄せた
もしや、あの女神様が言っていた
私に合った魔力というものだろうか?
「癒しの魔力?」
『まだそんなに強くは無いが…温かく心地好い力だ。前の世界での経験に引っ張られたのであろう』
それは有難い。
こんな所で自分の魔力の存在を知るなんて…
アレンが気持ち良さそうにしているのを良い事に、ここぞとばかりに撫で回したのは内緒だ。
もふもふでサラサラだったのだ、仕方ない。
獣の魔力恐るべし。
「仕事の役に立ちそうな魔力だな」
「うん、嬉しい!…けど使い方がイマイチ自分では分からないな…」
「それは俺が教えてやれる」
「本当!?わー!お願いします、ゲイル先生!」
「…先生か。今日は予定が詰まっているし、
朝から覚える事も多かっただろうから魔力の基本は明日からにしよう」
「うん!ありがとうございます!
うわー楽しみだなぁ、異世界に来たって感じがする!」
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