第十三話 精霊降臨の儀式

――満開の島 ロシリア・神樹への道


◇リジェ

この森を抜ければ、

神樹があります


◇カイ

…………


◇ノア

兄さん?


◇カイ

ノア……


さっきのリジェの話――


「空の大穴があいてから

桜木のマナの減少に

歯止めがかからない」って……


◇ノア

『深淵』につながるあの空の穴が

マナの均衡を

崩している可能性は高い……


しかし、それも確証はない


◇カイ

だけどノア、

現にこの島は――


◇ノア

兄さん……


◇カイ

でも――!


◇ノア

リジェは、

マナの減少は空に穴が開く前から

始まっていたと言っていた


確かに、あの空の大穴は

無関係ではないだろうが、

直接的な『原因』とは思えない


◇カイ

…………


◇リジェ

――カイさんたち


◇カイ


◇リジェ

着きました

ここが神樹です――



********************



――満開の島 ロシリア・神樹の下



◇カイ

これが神樹……


◇リコ

――覚悟はしていたつもりです

でもっ!!


これではまるで、

朽ちかけた老木じゃ

ありませんかっ!?


◇クロナ

リコさん……?


◇リコ

私が旅に出た時は……


確かにあの時も、

満開ではないものの、

花も咲いていたのに……


◇リジェ

リコさん……

これが神樹の今の姿です


◇ノア

それだけ、

桜木のマナの減少が

進んでいるということか


◇アリア

なんだか、

木が可哀想……です


◇リジェ

……精霊の召喚を始めます


◇リコ

!?

本当に呼び出せるんですか!?

この神樹で!?


◇リジェ

わたくしは

『ロシリア流精霊術』の

伝承者として――


必ず、

精霊を呼び出してみせます!


◇リコ

ですが――!


◇リジェ

神樹は、

きっとわたくしの呼びかけに、

応えてくれるはず……!


始めます――


――桜よ


我、ロシリアの血を繋ぐもの――


我が声に応え、

新たな祝福を――!


桜木の加護のもと――

いでよ――精霊!


◇カイ

どうだっ……!?


◇クロナ

なにも……

見えない、けど……


◇リジェ

そんなっ……

そんなはずはありません!


いでよ! 精霊!!


いでよ!


精霊よ! 神樹よ!

応えて! お願い――!


どうして!?

なんで!!!!


◇リコ

やめましょう

リジェさん……


◇リジェ

リコさん――


でもっ

わたくしはっ――


◇リコ

今は、無理です

どんなにあなたが祈りを捧げても

精霊は現れません……


◇リジェ

ダメですっ!!


それではダメなんですっ!

わたくしは

カイさん達とお約束しました!


なんとしても必ず精霊の加護を

お授けすると!

それにっ……それに――!


このままでは、島の人たちに……

申し訳がたちませんっ……


うっ……うぅっ……


◇リコ

リジェさん……


◇リジェ

――やっぱり、わたくしは……

まだ……


わたくしがっ……

未熟なばかりにっ……!!


こんなに

全力を尽くしているのに……!


◇リコ

リジェさん

聞いてください


それは違います

あなたは未熟ではありません


立派な……

尊敬すべき精霊術師です


でもっ……!


◇リジェ

……ごめんなさい!

カイさん……

わたくし、約束を果たせ――


◇カイ

謝る必要、ないだろ


◇リジェ

!?


◇ノア

兄さんの言うとおりだ

キミは本当に

『全力を尽くした』のか?


桜木のマナが減少した原因は

本当に『君の未熟』か?

他の可能性は?


それを探らないで、

『自分の未熟』のせいにして

終わってはいけない


◇クロナ

そうそう!

約束はまだ有効だよ!


◇アリア

ご自分を責めないでください

リジェさん


◇リジェ

みなさん……


◇リコ

そうです!


私たちが

この島の異変の原因を

突き止めてみせます!


◇リジェ

――リコさん……


◇カイ

リジェ、諦めるのは

俺たちが原因を探ってからだ


◇リジェ

…………


◇ノア

この音――


◇カイ

リンジーの通信マキナ……?



To Be Continued……

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