第314話 返り討ちにしてやりましょう!!

「あの2人が?」


 いつもなら勝手に転移でやって来るのに、謁見って……

 いやまぁ、こっちの事情を考えてくれての事ってのは分かりますけど。

 謁見なんてただでさえ慣れてないのに、あの2人相手だと余計に格式張って変な感じですね。


「分かりました。

 ここに案内して下さい」


「かしこまりました」


 一礼すると次の瞬間には転移して消えるメルヴィー、実に仕事が早い!

 世界広し、統一神界広しと言えど、メルヴィーに匹敵する完璧メイドが一体どれ程いるか。

 ふっふっふ、主人として僕も鼻が高いですね! 今度ネルヴィア様に自慢してやりましょう!!


「お2人をお連れ致しました」


「どうぞ」


 メルヴィーに連れられて特別会議室に入ってるイヴァル王とウェルス帝。


「久しぶりですね」


「つい3日前に会ったばかりなのですが……」


「……あっ」


 確かに言われてみれば、3日前に会いましたね。

 いやでもこれは仕方ないです!

 だって、ネルヴィア様から突然お願いされましたし。

 ゼサータレンとの辛く厳しく、激しい激闘もありましたし!

 ネルヴィア様にお願いされた後に遠征前飲み会をやった事をど忘れしても全く不思議じゃ無い!!


「そ、それで一体どうしたのですか?」


「……勿論、昨日の事についてです」


 よ、良かった、どうにか誤魔化す事に成功した様ですね。


「昨日のと言うと」


「当然、ナイトメアの拠点が襲撃された件ですよ、ルーミエル様」


 やっぱり、その件ですよね。


「ナイトメアの拠点を襲撃できる存在なんて、我々の様な常人には不可能。

 何せ全員が我が帝国が誇る十剣に相当する実力者ですからね」


「そんなナイトメアに襲撃を仕掛けた存在。

 十中八九、魔王ですよね?」


 お、おぅ……流石はウェルス帝とイヴァル王ですね。

 ナイトメアの拠点が襲撃されただけで、そこまで状況を読むとは。

 見事な慧眼です!!

 僕も2人くらい先を読めたら、皆んなが死ぬ事も無かったかも知れないのに……


「如何しました?」


「いえ、何でもありません。

 イヴァル王が言う通り、今回の襲撃は魔王……ヴィスデロビアによるものです」


「やはり……」


「それで、我々はどうすればよろしいでしょうか?」


「どうすればって……どう言う事ですか?」


 そりゃ、襲撃されたからには徹底的にぶっ潰しますけど。

 元々、神々の問題なのにイヴァル王やウェルス帝を巻き込む訳にはいきません。


「ルーミエル様。

 貴女の事だから、我らを巻き込む訳にはとか考えているのでしょう?」


 ズ、ズバリと当てて来ますね、イヴァル王。

 心の中を覗かれてる様でちょっと怖いです。


「やっぱりですか。

 ルーミエル様、1つ言っておきますが、それは間違いです」


「そもそも、巻き込むも何も、我々はこのアニクスに住む住人。

 魔王ヴィスデロビアが攻めて来ると言うのであれば、我らも歴とした当事者なのですよ」


「た、確かにそう言われれば、そうですけど……」


「当然、我々も戦いますよ」


「我らの住む世界は我らの手で守る、なんて大袈裟な事は言いませんが。

 全てをルーミエル様達に任せる程、恥知らずでは無いつもりです」


「でも……」


 今回の敵は超越者の中でも頂点に立つヴィスデロビアですし。

 そんな相手との戦争に参加するなんて危険過ぎる!


「それに、敵の主力はルーミエル様達がお相手して頂けるのでしょう?」


「雑兵の相手程度、我々にお任せ下さい」


「むぅ……」


 2人は勿論、十剣の皆んなやグラウス爺にアレックさんも出来れば危険な事はして欲しく無いんですけど…… これは引いてくれそうにありませんね。


「分かりました。

 ちょうど今、軍団の数が足りなくて困っていたところですし。

 対魔教団同盟にも動いてもらう事にします、構いませんね?」


「問題ありません」


「勿論ですとも」


「では、対魔教団同盟の事も頭数に入れて軍事編成を考えましょう!

 皆んなでヴィスデロビアを返り討ちにしてやりましょうっ!!」

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