第312話 祝福です

いい感じの話にしようと思ったのに……やっぱり苦手です。

次回から本格的なバトルムードに……!! なる予感です




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 軍団の編成には時間が掛かると言う事で、続きはまた明日となり。

 ぐっすり眠って元気いっぱい! やる気いっぱい!! 殺る気いっぱいですっ!!


 仲間が死に、かつて無い程に緊迫した状況なのに、ぐっすり寝てしまうなんて……

 我ながら情けない。


 勿論、僕は全力で睡魔に争い、怒りで捻じ伏せて会議の続行を押しけど……皆んなが反対するし。

 突然背後からメルヴィーに抱っこされて、そのままポックリ……うん、まぁあれは仕方ないですね。


「お嬢様」


「はい」


 コレールに言われて前に出ると、そこに広がるのは……純白の大理石で作られた、ニューヨークのグラウンド・ゼロを彷彿とさせる巨大な慰霊碑。


 超越者であり、神能を保有する僕達にとって本来なら死者の蘇生なんて容易な事です。

 でも……神々の中でも頂きに立つ元シングルのヴィスデロビアか、はたまたその配下の権能かは知りませんが。

 今回、殺された皆んなの魂はボロボロにされていた。


 あれでは例え元通りに修復できても、記憶は勿論、自我さえもありはしないでしょう。

 身体と言う箱に魂が入っただけの人形になってしまう。


 そして、その事を皆んなも分かっていたのでしょう。

 あんな状態になっても、最後の灯火の様に皆んな辛うじて本当に微細な意思を持っていました。


 肉体は死に絶え、魂もズタボロにされながらも皆んなが願った事。

 『足手まといになってしまうから、このまま逝かせて欲しい』なんて、少しはこっちの心情も考えて欲しいものです。

 慰霊碑の前に立ち、帽子は無いけど手を右手を胸に添えて目を瞑むる。


「我らが同志達に黙祷!」


 それと同時にコレールが声を張り上げ、背後で整列する全ナイトメアの構成員達が黙祷を捧げる。

 ナイトメア創設の時に、カッコいいから何て理由で作ったナイトメア式の黙祷方法ですが。

 まさか本当に使う日が来るなんて思ってもいませんでしたよ。


 これだけの人数が一糸乱れぬ動きで黙祷をする姿はさぞ壮観でしょう。

 慰霊碑に魔力を流し込むと、慰霊碑の大理石が白く淡い光を放ち始める。


「どうか安らかに」


 ネルヴィア様に教えてもらった上級神が行う死者への祝福。

 こんな手向しかできませんが。

 どうか来世では幸せに、皆んなの祝福を願っています……









「さて……今回のヴィスデロビアによる襲撃はハッキリ言って想定外の事態でした。

 誰に何を言われようとも僕は自分の事を責めます」


 今回こんな事になったのは、まだ大丈夫だろうと甘く考え、ヴィスデロビアの動きを読みきれなかった僕の責任。

 コレール達はそんな事は無いと言ってくれましたが、そう簡単には割り切れない。


「ですが、落ち込んでいる暇はありません」


 むしろそんな事をすれば、誇りと覚悟を持って立ち向かい……そして殺された皆んなに失礼です。


「ヴィスデロビア勢力との戦い……今までの様に遠慮する必要も、目立たない様にする必要も一切ありません!

 死んでいった皆んなの為にも……ナイトメアの名を統一神界中に轟かせてやろうじゃ無いですかっ!

 今回ばかりは正真正銘、全身全霊の、総力戦でヴィスデロビアを叩き潰します!!」


「「「「「「「「「はっ!!」」」」」」」」」


「よろしい! では今から対ヴィスデロビア戦に向けての軍事編成を行います」

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