第295話 張り切っていきましょう!!
「お嬢様、朝でございますよ」
悪魔の声が聞こえる気がしますね……
やはり、悪魔の王と称されるサタンと戦うから変に意識しちゃってるのでしょう。
ふっ、しかし甘い!
その程度の幻聴に惑わされる僕では無いのですっ!!
「起きていらっしゃるのは分かっていますよ?」
なっ! い、いや、そんなハズありません。
確かにメルヴィーの言う通り既に起きてますけど、メルヴィーが来る前にベッドにダイブして寝るフリは完璧!
外部との干渉は特殊な結界で遮断されていますし、入って来たメルヴィーが見たのはベッドで丸まってる僕の姿。
この狸寝入りがバレる事は有り得ない!
僕が本当に寝ているのか鎌をかけているのでしょう! ハッタリに決まっていますっ!!
「お嬢様のお気持ちも分かりますが。
リーリスも帰還しておりますし、お嬢様が気をやむ必要はございません。
皆様、お嬢様の事を心配されております。
早く元気なお姿をお見せになって下さい」
「……ほ、本当ですか?」
「勿論です」
「いや、でも……今更どんな顔して皆んなと会えばいいんですか……?」
そうです。
今更のうのうと皆んなの前に行くなんてできません。
だって、昨日僕は……
「お嬢様……あれは、決してお嬢様のせいではございません。
お嬢様を責める者など誰一人しておりません。
それに……大変にお可愛いらしく、眼福でございました」
「うぅ……」
「うとうとと船を漕ぎながらも、会議に参加する一人として必死に耐えるお姿!」
やめてっ! そんな失態を聞かせないで下さいぃっ!!
だって仕方ないじゃ無いですか!
コレールに任せたから、何もする事がなかったし。
例え神であっても、睡魔には抗えないんですっ!!
いや、本当の本当は睡眠程度、自身でコントロールできるけども!
そ、そうです! 久しぶりの帰郷で精神的にも疲れていたんです。
そうじゃ無いと、会議の途中で寝落ちなんてするハズがないのすっ!!
「もしもお嬢様を悪く言う者がいるならば、この私が……ふふふ」
うん、きっとそうです。
だって、地球は嫌な記憶が詰まった故郷ですからね。
それに加えてこれから始まるゼサータレンとの戦い……精神的なストレスで寝てしまっても不思議では無いっ!!
「ではお嬢様、参りましょう」
「うわっ! ビ、ビックリしました。
突然背後に回って抱き上げないで下さい!」
本当にビックリして心肺停止なんて事になったらどうするですか?
いやまぁ、もう慣れましたけど……それでもビックリする事には変わりないからやめて欲しいですね。
「ふふふ、申し訳ありません。
皆様がお待ちなので、ご支度を整えて朝食がてらリーリスの報告を聞くと致しましょう」
「わかりました!
昨日の失態はゼサータレンのせいでもあります。
僕に恥をかかせた借り、キッチリと返してやらねばなりませんからね。
張り切っていきましょうっ!!」
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