第243話 お茶会ですねっ!

「ふぅ〜」


 お気に入りの人をダメにするクッションに深々と腰掛け、メルヴィーが入れてくれたミルクティーの飲む。


「メルヴィー、ありがとうございます。

 少し落ち着きました!」


「ふふふ、私はお嬢様の専属メイドとしての責務を果たしただけです」


 澄ました顔で卒なく仕事をこなす。

 更には、ちょっと疲れたなぁと思ったら抱っこ。

 喉が渇いたと思ったらさり気なくお茶を入れて、気配りもできる。


 流石はメルヴィーですね。

 メルヴィーならこの統一神城のメイド達をも凌駕する事間違いなし!

 ふふん、僕も鼻が高いですっ!!


「……この光景がおかしいと思う妾が間違っておるのかな?」


「いやぁ、それが普通の感想だと思いますよ?」


「2人も、そんな所にいないでこっちに来ませんか?」


 うんうん、この2人にも是非ともメルヴィーの入れた素晴らしいミルクティーを味わって頂きたい。


「おぉ! 確かにメルヴィー殿のお茶は美味ですね」


「ふっふっふ、そうでしょう?

 エネトスさん、分かってますね!!」


 エネトスさんは神王を守護する近衛神隊の長、この統一神界に於いても重鎮の1人ですからね。

 そんな人にそう言って貰えれば、もう有頂天です!


「フォルクレス殿……妾、怒鳴って良いよな?」


「えっ? 何か言いましたか?」


 いつの間にかソファーに座っているフォルクレス。

 ふっ、どうやらフォルクレスもメルヴィーのお茶の魅力には敵わなかった様ですね。


「貴様ら……いい加減にせんかっ!!」


 び、びくっりしました。

 突然大声を出すから、ビクッと肩が跳ねてミルクティーが溢れそうになるし。

 危うく、ティーカップを落とす所でしたよ!!


「ここは統一神城の謁見の間なのだぞ!

 何故そんな神聖である場所で、椅子まで出して呑気にお茶をしておるっ!?」


「だって、テンションが上がって喉が渇いたから……」


「言い訳するでないっ!

 そもそも、妾は幼女と言う外見では無いわ! 主の方が余程チンチクリンの幼女ではないかっ!!」


 うっ……た、確かに幼女と言うよりかは、少女って言った方が適切かも知れませんけど……


「ロリババア神王様だってつるぺたのくせにっ!!」


「誰がロリババアだっ! 妾の名はネルヴィアだ!!」


「だ、だって、神王様の名前知らなかったから……」


「それは主が突然大騒ぎし始めたせいであろうっ!?」


「うぅ……ご、ごめんなさい……」


 そうだとしても、ここまで怒らなくてもいいのに……

 ちょっとお茶を飲んでいただけだし、皆んなも飲んでるのに、何で僕だけ……


「ぬ、主、泣くで無い……いや! 妾も少し言い過ぎた!

 ほら、もう妾も怒っておらんぞ?」


「な、泣いて何か……無いです!」


 うるうる、と目尻に涙が溜まってるけど、泣いてはいません!

 この程度で泣くほど、僕は子供じゃ無いのです!!

 ただちょっと、泣きそうになってるだけで……これも全ては、この幼女ボディの弊害のせいなのですっ!!


 落ち着いて、深くゆっくりと深呼吸をすれば涙は自然と引くはず……

 決して泣き虫じゃありませんからね! 人前でそう易々となく訳にはいきませんっ!!


「そ、そうか。

 うむ、この神王たる妾の怒りを向けられて泣かぬとは、偉いぞ!」


 凄まじい速度で隣に移動して来た神王様に優しく頭を撫でられる。

 子供扱いされてる様で釈然としませんね……まぁでも、褒められて悪い気はしません!!


「そうですか?」


「うむ! 妾が一睨みすれば、大抵の者は震え上がるぞ!!

 なぁ、エネトス!!」


「ええ、神王様の仰る通りです。

 何せ神王様はフォルクレス殿と同じくシングルですから」


「まぁ、その話は後でよかろう。

 今暫く、こうして親睦を深めるとしようではないか!」


 いつの間にか用意されたソファーに腰掛け、差し出されたティーカップを片手に持つ神王様。

 流石はメルヴィー、どうやら神王ですら陥落した様ですね……メルヴィー、恐るべしです!!

 

「じゃあ、お茶会ですねっ!」


 さっきもケーキを食べたので、いつもならメルヴィーに止められますが……

 2度目のオヤツタイムですっ!!

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