第14章 神界編

第230話 やっぱり胸ですかっ!

「そうでした、残念王子のフリードでしたね!」


 ふん! 何で僕が怒鳴られなきゃならないんでしょう?

 そもそも、ウザくて不愉快なだけの取るに足らない少年の存在を思い出したんですよ?

 褒められる事はあっても、怒鳴られるのは納得いきません!!


「エル、拗ねてるの?

 よし、よし」


 べ、別に拗ねてなんか……全く、なんて事を言うんですか!

 でも、頭を撫でられるのは気持ちいい! 寧ろもっと撫でて欲しい!!


  流石は僕のお姉さんを自称するだけはあります。

 この見た目でこのテクニック……フェル、恐ろしい子!!


「貴様らの様な下賤な者の分際で、この俺を無視する事が許されると思っているのかっ!!」


「まだ居たんですか?

 はぁ、せっかく見逃してあげてるのに……先程から少し不愉快ですよ?」


 廃嫡残念王子は可哀想な被害者。

 あの身体、魔王の欠片と闇の魔力を取り込み過ぎて、最早〝魔王〟そのもの。

 しかも完全体には程遠いし、中身が魔王じゃ無いから大して強くも無い……哀れです。


「まだ侮辱するか!

 俺の前に跪き、俺のモノになるのなら、かつての無礼をも許してやったものを。

 この俺を侮辱した事、後悔させてやろうっ!!」


 うわぁ……あの目、滅茶苦茶、気持ち悪い。

 僕を含めて女性陣を舐め回す様な視線、露骨過ぎて吐き気がします!


 皆んなは、まだ分からなくも無い。

 皆んな、絶世の美女ですし……でも、僕とフェルはダメでしょう!?


「俺は最強の力を手に入れた! この俺こそ、この世界の神になったのだ!!」


 イタイっ!

 お前はキラかっ? デ○ノート持ってるんですかっ!?


「そうだなぁ、まずはじっくりと痛め付けてやろう。

 貴様は泣き喚き、俺に助けてくれた縋り付く事になるだろうなぁ」


 うっわ、今猛烈に鳥肌が立ちました。

 元々、傲慢で最低の選民思想に染まった特権階級を体現していた残念王子でしたけど。

 ここまで性格が捻じ曲がるとは……騎士さん達に連行された後、一体何が?


 と言うか、そもそも何故、彼は魔教団に?

 魔王の憑依にされていた事も気になりますし。

 あれ程、魔王の闇に浸食されているのに自我を保っている奇跡。


「ふむ、面白い。

 これは、なかなかに興味深い現象です」


 ここで彼を殺す訳にもいきませんし……


「取り敢えず、取り押さえてイヴァル王の前に連行しましょう」


 以前、ノアとシアを侮辱した罰は廃嫡追放で既に執行済み。

 それに差別思想を持っているとは言え、実際に他種族を虐待していた訳じゃ無いですしね。


「お嬢様……」


「ルーミエル様……」


 何故か恍惚とした表情を浮かべる、メルヴィーとオルグイユ。

 ちょっと意味が分かりませんが……皆んなの様子を見るに、いつものヤツですね!


「エル、悪い顔してる」


「む、そんな事無いですよ!

 ただちょっと、どうやってアイツの根性を叩き直してやろうかと、考えていただけです!!」


 全く、悪い顔とは失礼な!

 胸を張って言い切ったのに、何故か病気の2人を省いた皆んなに苦笑いを浮かべられました。

 むむー、やっぱり胸ですかっ! おっぱいが無いのが悪いんですかっ!!

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