戻れない

夕陽が落ち掛け暗がり迫る

行燈(あんどん)ぶら下げ歩く帰り道


やや荒い地面が煩わしい道に

早々に帰すには遺憾なと脳裏を過(よ)ぎる


近道と歩んだ道捨て戻るかと立ち止まると

背を押す一陣の追い風


慌て振り返ると今来た道は何処(いずこ)

草木が生い茂げ行手が阻まれていた


夕陽などとうに無き闇の中

前方に向け早々に駆け歩き


一体此処は人の世なのか我来た道は外れ道か


阻(はば)む戻り道の闇の中から

人ならざる者の光る目を見てしまったのだ








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