第115話:今から20分前のこと
さて、何故俺がさっき放送部の部長とやらが言っていた通り体育祭で一番盛り上がる競技にして陽キャ中の陽キャのみが参加することを許される
【体育祭最終競技:クラス代表マラソン大会】
とかいうクソみたいなマラソン大会のスタートラインに普通科三年二組の代表走者として立っているかというと……。
〜今から20分前〜
「あー、やっと次の競技で終わりか。ってことで11時のおやつにコンビニにアイスでも買いに行かね?」
ウチの体育祭は午前中で全競技が終わるようにプログラムが組まれているのでそれがある日は午前授業というだけでなく、この時期の三年生は最後の高総体本戦だったり大学受験などといった進路関係の試験が控えている人が大勢いるためこの学年に所属する学生は出席および競技への参加が自由というわが校らしい校則があるということで俺は当たり前のことながら他にも健太と倉科といったいつ面二人みたいに参加はしないけど部活が午後からだから暇つぶしに出席している奴だったり
彩乃や藤村みたいに朝からサボ…用事があって欠席している人だったり
体育祭に参加している陽キャだったり
と完全に人ぞれぞれといっ感じだが俺らみたいな奴らはごく少数で殆どがサボり…と言いたいところなのだが、毎年恒例の現象こと『最終競技のマラソンだけ見に来ました現象』が今年も起こり始めたタイミングを見計らってそう俺が言うと
「はぁ? お前にそんな時間ねえだろ、早く準備しろよ」
「………はぁ?」
「はい、これがよーくんの分のマイク付きイヤホン。あとなんちゃってペースメーカーではあるけど、この分野に関しては私が一番よーくんのことを分かってるってことで彩乃ちゃんから頼まれてるから、よろしくね~」
「………………」
(朝からうちの洗面所を30分以上も占領してアイロンだのスプレーだのなんだのを使いながら自分の髪の毛をお団子ヘアー(めっちゃ可愛かった)にしてたくせに休みの日みたいに人の服を部屋着として着た状態で)
『最近部活が忙しくてあんまり掃除できてなかったから私は今日学校休むけど、午後の部活には行くから。ということで…いってらっしゃい♡』
(とか玄関で言ってきたのはこういうことだったのか)
などと我ながら冷静に今朝あったことを思い出しながら着ていたウィンブレとそのズボンを脱ぎ
「はーぁ、ちょっとこれ持ってろ健太。ポケットに財布とスマホが入ってるから絶対に手放すなよ。倉科とか俺と仲良い人に持たせるのはいいけど、そうじゃない奴とかブルーシートの上とかに置いたら許さないからな」
「一之瀬にそういう変なこだわりがあるのは知ってるし、別に持ってるのはいいけどよ……お前、少し大人になったか?」
「あとこのイヤホンいらない」
「よーくんが付けたくないって言うのなら別に私はそれを強要したりしないし、ルール上絶対ではないから付けなくてもいいけど…自分のポケットに入れておくくらいの我慢はしなさい。ということで分かったら今すぐアップをする!」
「………………」
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