第111話:GW合宿二日目 (下-Ⅱ)
「嫌じゃなくてですね彩乃姫。お嬢様も知っての通り私は大変目が悪いのでコンタクトを外してしまった今、お嬢様が持っておられる眼鏡をかけなければ何も見えない状態にあり大変危険な状態でありますので…どうかお返しいただけないでしょうか?」
彩乃相手の時限定とはいえ普段の自分とは全く別のキャラを演じることに対してあまり抵抗がないものの、ここが外である以上誰にも見られていないという保証がないだけでなく、それを確かめる為の目が見えないため内心焦りながらそう言うと
先ほどまで俺の首筋に顔を埋めていた彼女はスッとそれを上げ、お互いあと数センチ顔を前へと動かせばキスできるくらいの距離になってから
「むぅ、もうベンチに座ってるから全然危なくないし、何も見えないっていうのが嘘だっていうことは既に知ってるんだけど?」
「お前、俺がその拗ねながら甘えてくるやつに弱いことも知っててやってるだろ?」
「だって早くキスしたいんだもん。ねぇ、はやく~♡」
そう口では言っているものの今日の彩乃は自分から唇を近づけてくる気は一切ないらしく顔の距離はそのまま、でも抱き着く力を少し強めることによって上下ともにお互いの体の密着度を上げ更にこちらを誘惑しようと……
(いや、これは完全にスイッチ入っちゃってるな。流石に外でキャラ変彼氏 (彩乃命名)は拙かったか?)
(って反省したいところなんですけど、こっちはこっちでそれのスイッチが入っちゃってるんで引き返す気はさらさらないんですけどねぇ)
なんてことを心の中で言いながら俺は自分の右手で彩乃の頭を押さえ、そのままほんの少しだけだが強めに彩乃の頭を引き寄せてから
「(こんなエッチな子には…少しお仕置きが必要そうだな)」
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