第110話:GW合宿二日目 (中) (彩乃視点-Ⅲ)
「よしよ~し、私の態度が次から次へと変わって不安だったねぇ~」
「んー!」
「でもなんで私がこんなことをしたのか、ひーくんならちゃんと分かるよね?」
「んっ!」
(訳:ちゃんと何が悪かったのか理解したし、反省もしているからもうその話はやめろ! 早くいつもの彩乃に戻ってくださいお願いします! ってところかな、これわ)
「じゃあ罰としてひーくんが今しているこの『ぎゅ~♡』は明日になるまで禁止。分かった?」
「………………」
彼が今回の件に関してちゃんと反省してくれていることは言葉を交わさずとも分かるため別に罰どうこうというのは口だけでひーくんがどうしてもというのであれば好きにさせてあげる気ではあるのだが、その前にどうしても化粧水を塗っておきたい私は誰もいない空間を眺めながら
「あれ? あそこを歩いてるのって向井達じゃ―――」
『ない?』そう言い切る前にこちらが何を言いたいのか察したらしいひーくんは凄い勢いで自分の体を180°回転させようとしてきたのでそれを途中で無理やり引き止め
「はいストーップ♪ からの~、さっきのは全部嘘だから大人しく目を瞑りなさい♡」
「………どこからどこまでがだ?」
(―――――ッ⁉)
「さぁ? それは私がひーくんの顔に化粧水を塗ってあげている間に考えな」
なんて表面上では余裕ぶっているものの実際はキュン死寸前と言っても過言ではない程までに追い詰められてしまった私は若干不満そうな顔をしつつも大人しく目を瞑った彼の顔を見つめながら
(はぁ~、さっきのは本当にヤバかった。本人はまだ気付いていないみたいだからいいけど、もしあんな恐ろしい胸キュン技を自分の意思で使えるようになられたら……逆に冷めるね、うん)
(ということで今後ひーくんにはそんな凄い技を使えるということがバレないように、でもこっちの意思でそれを自由に引き出せるようになろっと♪)
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