第88話:その頃彩乃は

高校最後の春休みが終わり、今日からは新学期。


といっても昨日までほぼ毎日部活があったお陰で生活リズムが崩れていたり朝起きるのがツライということもなく、変わったことといえば着る服がジャージから学校の制服に変わったことぐらいである。


ということで普段通りの時間に家を出た私は学校に向かうバスに揺られながら窓の外を眺めているとスカートのポケットに入れているスマホが何かの通知を受け取ったらしくリズムよく振動した。


(この感じはL○NEかな?)


ひーくん:《少なくともウチのクラスはメンツから席順まで全て校長のリーク通りだった (写真付き)》


(ということは美咲も同じクラスか……。多分大丈夫だとは思うけど念のため―――)

___________

 美咲

 写真を送信しました

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

___________

 美咲

 この人って彩乃………

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

念のため美咲がひーくんに変なちょっかいを出そうとしても大丈夫なよう


《もしあれだったら校長室にでも避難していて》


と彼にL○NEを送ろうとした瞬間このような通知が画面上に表示されたため私は急いで彼女のトーク画面へ飛び内容を確認してみると、彼が頬杖をつきながら読書している写真とともに


美咲:《この人って彩乃の彼氏?》


(何が何でもこの写真は美咲のスマホから消させるとして……もしかしなくてもこれはちょっかいを出す気満々だよね?)


(ちゃんとひーくんは異性と話すのがあんまり得意じゃないってチャラ彼氏の件で相談を受けた時に言ったのに! )


(………取り敢えず今すぐ教室から逃げるよう彼に伝え―――)


美咲:《彩乃が既読無視してる間に適当に何人かに聞いて回ったら当たりだったみたいだから、ちょっと話掛けてきま~す》


(そんなこと駄目に決まってるでしょ―――)


ひーくん:《たすけて》

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る