第51話:でも彼女ができたことは言わない
結局あの後没収された生チョコが戻ってくることはなかったので大人しく諦めることにした俺は彩乃と一緒にバスに乗って駅前へと行き、そのまま横に並んで改札を通り
「じゃあ私はこっちだから」
「うん、じゃねー」
そう言い俺は何時かと同じように手を振ると彼女はよく分からないが嬉しそうな顔で手を振り返しながらエスカレーターに乗り、そのまま駅のホームへと消えていった。
(んじゃっ、バスに乗って帰るか)
「すみません、ちょっと忘れ物をしちゃったんで外に出たいんですけど」
「それでは一度S○icaをお預かりしますね」
(実は今一人暮らしをしている家は学校の近くだから電車どころかバスにすら乗る必要がないんだけど、やっぱり好きな子とは少しでも長い時間一緒にいたいじゃん? それに普段は部活があるせいでこうやって下校するとか中々できないし)
(………ちょっと重いかな)
「はい、S○icaをお返しいたします。それから出口はこちらになりますからご注意ください」
「すみません、ありがとうございました」
まあ何事もバレなければOKでしょ! のクズ精神で考えることを一旦放棄した俺はスーパーで買い物をしながら家へと帰り、そのまま一人で夜ご飯を食べたりなんだりをしていると母さんから電話が掛かってきたのでそれに出てみると
『もうこっちには帰ってきたの?』
「ああ、さっき飯食い終わったところ。あと今年も担当さんからチョコを貰ったんだけどお返し何にすればいいかな?」
『うーん、貰ったものの値段にもよるからハッキリとは言えないけど無難なところだと去年と同じくちょっと高めのお菓子とか? それの写真か実物を送ってくれれば大体の目星がつくと思うけど』
「残念ながら既に人にあげたからそれは無理だ」
『なんで?』
「別になんでもいいだろうが。……というかよくよく考えたら母さんよりそれをあげた人の方が年齢が近いんだしそっちに相談した方がいい気がしてきた。ってことで俺は今から風呂に入るから電話切るぞ」
『そう、じゃあまたね』
そう言うと母さんの方から電話を切ったので俺はベッド近くにある充電器にスマホ繋ぎながら
(取り敢えず明日学校で彩乃に相談して、もしOKしてくれればそのまま一緒に買いに行けば………明日から春休みだわ)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます