第47話:バレンタインデーⅥ

(よくよく考えたらなんで俺がバレンタインデーに告白してるんだ? まあ別にバレンタインデーなんてお菓子業界の陰謀なんだからどっちからとかはどうでもいいどころか、俺は今アイツらに感謝すべきなのか?)


とか真剣に考えていると彩乃はお弁当とかを入れるのにも使えそうなおしゃれな保冷バック? をこちらに差し出してきて


「じゃあ、はい。私からのチョコレート。中身は生チョコだからさっきまで校長室の冷蔵庫に入れておいたし、保冷剤も冷凍庫に入れておいたからしばらくは大丈夫だとは思うけど早めに食べるか家の冷蔵庫に移してね」


「生チョコ⁉ 食べる食べる! すぐに食べる、一日で食べる!」


「球技大会の日に生菓子が好きって言ってたからそれを作ってみたんだけど、まさかそこまで喜んでくれるとは……。だけど食べすぎもあんまりよくなからせめて二日に分けて食べな、ね?」


(それは無理。ってことで話を逸らそう)


「いらないとかそういうわけではないんだけど、彩乃から貰ったやつがあるからこれあげるわ」


そう言いながら担当編集さんから貰ったチョコレートをそのまま渡すと


「………これ、紙袋からしてもう既にかなりの値段がしたであろうことが分かるんだけど、一体誰に貰ったの?」


「誰って仕事先の人だけど、まあそこら辺も全部教えておいたほうがいいか。ちょっとここだとあれだから校長室に行こうぜ」


「えっ、あの、学校にも内緒にしてるようなことをそんな簡単に教えちゃっていいの?」


「別に俺が秘密にしてることを彩乃が誰かに話したところで最悪高校を退学になって、個人情報が世界中にばら撒かれる可能性があるくらいだからいいよ。まあその時は彩乃のも一緒にばら撒かれることになるだろうけど」


「全然よくないんですけど⁉」


「はははっ、だったらずっと内緒にしといてくれ」


(まあそんなことをする可能性のある奴とは何があっても絶対に付き合ったりはしないし、俺が好きになることもないけどね)


なんてことを考えながら俺は何も考えずに握っていた彩乃の手をそのままに校長室へと入っていった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る