第25話:夏休み明け3日目

俺はいつも通り休み時間に本を読んでいると、珍しく教室内で倉科が声をかけてきて


「ねえねえ、よーくん。今日はなに読んでるの?」


「………何が狙いだ?」


「何にもない、よ?」


「……俺みたいな人間はこういう場所で堂々とラノベを読んでます。って言うのに抵抗感しかないことを知ってました?」


「えー、別に私はそういう趣味があっても全然いいと思うけどなぁ。ねえ、彩乃ちゃん?」


(はあ?)


「ん? まあ趣味は人それぞれだし、そういうのに限らず何かを馬鹿にしてる人って大体が『自分の嫌いなこと=叩いて当たり前、嫌いにさせた方が悪い』『嫌いだと思ってる人が多い=それが絶対正しい。相手の考えや意見なんて一切聞きません』『よく分からないけどみんなが叩いてるから自分も』みたいな頭のおかしな人達でしょ? そんな奴らのことなんて一々気にしない方がいいよ」


「は、はあ」


(えっ、なにこの展開? なんで倉科はここで佐々木に話を振った?)


「ところで話は変わるんだけど、もし私が一之瀬君を好きだったとして、こういう場合ってやっぱり少しでも共通の話題ができるようにって努力するべきだと思う?」


「いや、別に共通の話題なんて探せばいくらでもあるというか……、こーう、本当の友達と喋ってる時ってそういう話だけをするんじゃなく、その場であったことで盛り上がったり……昨日あった面白い話とかするじゃないですか?」


「うんうん」


「だから、もし佐々木…さんの好きな人がアニヲタだったとしても無理に話を合わせようとするんじゃなく、うーん……、取り敢えず俺なら無理に話を合わせようとしてくれる人よりも何気ない会話で盛り上がれる人の方がいいかなーと。……はい」


(聞かれたから少し真面目に答えたとはいえ恥ずかしい! というか知識だけ童○感丸出し(笑)とか思われてないよな?)

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