第15話:シャトルラン

体力測定。それは運動が苦手な人からしたらただの公開処刑でしかないクソ測定。特に50m走とハンドボール投げは全員に見られている状態でやらされるだけでなく、先生が直々に測定するのが特徴であり、その二つが苦手な俺はサボ……れるわけもなく先日嫌々やりました。はい。


しかしそんなクソ測定も今日のシャトルランで最後ということで適当なところで抜けようとか考えながらスタートを待っていると、たまたま近くにいたA男とB男の会話が聞こえてきて


「せめて周りの奴がある程度減ってから抜けたいわ。みんなまだ走ってるのに自分だけ抜けるとかダサいし」


「取り敢えず一之瀬には負けないだろうから大丈夫でしょ」


(はあ? なんで俺が喫煙者のお前らに持久力で負けなきゃいけねんだよ。……なんかムカつくから本気でやろう)


そう思った俺は周りの目など一切気にすることなく長袖のジャージと下に穿いていたウィンブレを脱ぎ、それを畳み終えたと同時にカウントが始まった。






『142』


(死ぬ死ぬ死ぬ)


『146』


(だぁー、間に合っちゃたじゃん。もう止めたい……けど止めたら負けな気がするんだよな)


『149』


(あ゛ー、ここまできたら150いきた………)


「はぁはぁはぁ、きっつ」


『150』


『151』


(誰だよまだ走ってんの、化け物かよ。まあいいや、水飲んでこよ)


誰がまだ残ってるとかよりも喉が渇いていた俺は自分のジャージを拾い、そのまま外へと出て行った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る