第12話 列車事故を予言する少女
おばちゃん、明日の正午は休憩にしてもらったほうがいいよ」
赤いランドセルを背負った女の子にキオスクのアルバイト女性(56)は言われた。
次の日、アルバイト女性は勤務の予定を少しだけ変更してもらい、昼は線路脇の休憩室で食事をとることにしたという。
持ってきた弁当を食べ終えた頃、時ドンと大きな音がした。驚いて戻ってみると店のガラスの引き戸に穴が空いており、レジ前に女性が倒れていた。女性は頭部から激しく出血し、すでに事切れていた。
警視庁の調べによると、死亡した女性は成田空港へ向かう特急列車が駅を通過する際、ホームから飛び込み、先頭車両にはね飛ばされたという。
キオスクのアルバイト女性はランドセルの少女のことばを信じて、事件に巻き込まれずに済んだ。
その後も、ランドセルの少女はこの駅での飛び込みによる列車事故を何度も予言しており、言われた相手が信じたか信じなかったかは別として、毎回、的中させている。
最初の予言から最期の予言までは12年以上あり、ランドセルの少女が同じ人物だと考えると妙な感じである。
今でも、その駅は毎日、時速一二〇キロの鉄塊が目の前を通過していっているが、ホームドアが設置され物理的に飛び込みができない構造となったため、自殺者はいなくなった。ランドセルの少女はもう現れない。それを少し残念に思うといったら不謹慎にすぎるだろうか。
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