砂漠のグラウンド

転ぶ

第1話朝日

まだ、誰にも汚されていない朝日の光が教室中に広がっている。


上村雫は、高校に入学してから毎日一番乗りで学校に来ていた。別に部活の朝練習があるわけでも恋人との待ち合わせでもない。


ただ、麦畑に広がるような新鮮な朝日を感じたいから一番乗りしている。冷たい教室の真ん中で朝日を感じて深呼吸し頭の中の血流をスムーズにする。雫の、瞳の中に光がして来てエネルギーを与える。


脈という脈を閃光がゆっくりゆっくりと走り抜ける。そして自分だけの世界に耽る。指先まで光が走り抜けて来たら窓を開けて校門から入って来る生徒達の小さな頭を見つめる。


ここから、朝日と冷たい空気を閉じて自分だけの空間にしたいと雫は願う。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る