比較的まともな詩、短文まとめ

shion♤

『猫がいた』一人と猫の話


猫がいた

にゃーと喋る猫がいた。

白くて丸い猫がいた。

猫はわたしの足元をくるくると回っては、ニャーニャーと喋り散らかして何処かへと去って行く。

餌でも強請っていたのだろうが、生憎わたしは手持ちが無い。

雑木林を抜けて行く猫がいた。


猫がいた

塀の上に猫がいた。

ニャーと笑う猫がいた。

黒くて細い猫がいた。

猫は塀の上で金の瞳をギラギラとさせ、ニャーニャーと笑い転げて何処かへと去って行く。

遊びにでも誘っていたのだろうが、生憎わたしは時間がない。

屋根を駆けてく猫がいた。


猫がいた

白くて黒い猫がいた。

細くて丸い猫がいた。

猫はにゃーんとひと鳴いて。

ふらりふらりと何処かへ去って行く。

何処かへ連れて去ってくれるのだろうが、生憎わたしには家がある。

帰らなければならぬ所がある。

猫は振り返りもせず去ってゆく。

わたしも見ずに歩き行く。



今日も何処かで猫がなく。

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