R アワリティア

 強欲アワリティア。七つの大罪に分類される人の中にある悪のことである。

 強すぎる「欲しい」という気持ちを基本的に指す言葉だ。

 というか大罪は欲望で分類している以上、これは実質「その他」の区分では? とも思わなくもない。


 今回はその強欲が出てきた話だ。どういうこと?





 組織が変な情報を上げてきた。

 なんというか、これまでの系統に分類されない新たな異能による犯罪が発生した、とかなんとか。

 いまいち釈然としないというか、組織の方もよくわかっていない情報だった。


 なにやら、脳が改造されていて、そこに解読不能な術式が刻まれていた、とのこと。

 その改造が人為的か生得的かは不明。ただ通常の人間の構造ではなかった、と。


 そして刻まれた術式に魔力を流すと、異能として発現したので犯罪に使われたらしい。

 なにか力を手に入れるとすぐ犯罪に走るなぁ、地球の人間。


 問題はこの能力が組織には全く解析できなかったってこと。

 系統として魔法技術じゃないかもしれない。


 えー……。

 ここにきて別系統の異能……。

 しかしまあ、異能ものってたまにそういう展開のものもある。


 話の展開の都合、別のルールで成り立っている異能を提示すると可能性が広がるためだ。

 ということは、これはUR・秘密結社の余波……か?


 とりあえずサメ機巧天使シャークマシンエンジェルに検査をさせておこう。


 私はガチャを開けるとする。


 R・アワリティア


 出現したのは金属片だった。

 薄い六角形の銀の板で、そこになにやら文字のようなものが刻印されている。

 そして、その表面には螺鈿細工のような質感でびっしりと記号が浮かび上がっていた。


 えっと……その。

 なに?

 アワリティア強欲


 強欲といえば、七つの大罪にて語られる人の罪であり……そんなものにカテゴライズされてるから異能ものではもう味がしないレベルでこすられているものだ。

 そして、そもそもそれらでも物質ではない。概念である。

 異能名だったり称号だったり席次だったり。

 じゃあこれはなんなのか?


 とくに魔力的なものを感じないから魔法系統の代物でもなし。

 接続端子のようなものもないから機械でもないように見える。


 なにかの触媒……だったら調べようがない。

 その場合全く別系統の技術だ。

 それが真ならばおそらく錬金術だろう。


 ……だめだ。思いつかない。

 これがなにか調べる手段がない。

 機神に解析させるのも手だが、時間がかかる。


 じゃあ、倉庫行きかぁ。





 後日。兄がやりやがった。

 なんとあの金属片をサメ機巧天使シャークマシンエンジェルに飲み込ませたのである。

 そうすると、なにかに反応するように……サメ機巧天使シャークマシンエンジェルは分身能力を発現した。


 ああ……。

 人体融合型の異能物品かぁ……。

 異能の力を宿したアイテムを適合者に投与したり融合させたりすることで異能を使えるようにするタイプの異能モノ。

 何らかの理由でそのアイテムが失われると同時に能力がなくなるので話の展開に貢献したりしなかったりするやつ。


 えっ、最低でもこれ7つあるってこと?

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