SR 高級ブランド牛 500g

 牛肉。食肉の一種で、牛の肉だ。

 一般的に流通している肉の一種でもあり、スーパーで簡単に手に入る。

 その中でも特に味と品質にこだわって育てられた牛の肉は、値段が高く、味もとても良い。


 今回はブランド牛が出てきた話だ。







 所有権。そう所有権である。

 惑星やら秘密結社やら、出てくるだけ出てきて私に無限に迷惑しか掛けてこないアレだが、概念的に所有権は私にある、らしい。

 というのも、機神のリソース回復にモロに影響を与えていたのだ。


 機神が持つ能力に異界化の能力があるのは軌道エレベーターを見ればわかると思うが、これはダンジョン操作の能力である。

 これが内部の命のリソースに比例して操れる範囲が広がる、まあ小説にありがちなアレだ。


 そう、内部で活動する人間の数が多ければ多いほどダンジョンポイントがたくさんもらえるやつだ。

 ちょーっと違うし、システムがそうなっているわけではないが、概ね概念としてはそれであっている。


 で、だ。

 そのポイントの収支が、軌道エレベーターに自然湧きしたエルフやら、基部街の研究者たちの数と全く合わない。

 どれくらい合わないかというと、10万倍ぐらい合わない。

 明らかに多すぎるのだ。


 そして、その出処があの星と組織である。

 あそこに所属している人間や生物の分、ポイントがたくさんもらえている、というわけだ。 


 なんでやねん……。

 機神がもう驚くような速度でレベル上がっていたからくりがこれである。

 いや、自己生産してる分が半分ぐらいあるが、それは置いておいて。


 というわけで、あの星も組織も一応所有権“は”私にある模様。

 だからって何もできるわけじゃなんだけどな!

 概念干渉は……流石にちょっとしかできないからな。


 さて、今日の分のガチャを回そう。



 SR・高級ブランド牛 500g


 肉だ。

 肉が出た。


 桐箱に収められた、美しいサシの入った牛肉である。

 もう一目でうまいことが予想できる牛肉が出現したのだ。


 久々に出現した牛肉である。

 しかもガチャ初期に出てきた高級ブランド牛肉と同じモノだと思われる。

 だって紙に書いてあること一緒だし。


 あのときのSR牛肉なら、旨いことはわかっている。

 本当に美味かったのだ。

 美味かったからその得体のしれなさで頭を抱えたくもなるのだが。


 で、その牛肉がまた出現した。

 前にでたRとしてではなく、SRとして。

 そのレアリティの差は、いかほどのものか。


 そう思って、私は魔力視を発動させたのだ。

 ははは、まさか反応があるまい、と。


 そこに見えたのは、膨大な魔力量。

 尋常ならざる量である。

 濃密過ぎて、肉本体が見えなくなるほどの魔力を帯びていた。


 は?

 その魔力量、ざっくり見積もっても水爆10個分のエネルギーを秘めたクッキー100枚以上。

 魔力資源として魔法現象に変換するだけで地球どころか太陽系まで消し飛ばせる量である。


 これを、食ったってこと?

 家族ですき焼きにして?


 食べたあと特に異常なこともなかったので特に問題はないだろうが……。

 実態を知ってしまうとやはり食べる気は失せてしまう。


 というか高級ブランドって。

 まさかこんな膨大な魔力量の牛を作る畜産の概念が存在しうるってこと?






 後日。食った。

 クソ! やられた!

 機神内の保管庫にしまっておいたのだが、兄があっさり見つけ出し、夕食の材料にしやがったのだ。


 オラァ! エンシェントドラゴンのフィレステーキだ! じゃないよ!

 なにすき焼きのレシピ使ってとんでもないモノ作ってるんだ!

 しかも魔力量が10倍以上に増えてるぅぅぅぅぅ!?


 残しておくわけにもいかないので食べたが。

 味?

 最高でした。

 普通の人なら食ったら感動で死ぬね。

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