R 瞬間漬物壺
漬物。様々な食品を塩やお酢などの漬け込める材料に漬け込み熟成させることで保存に適した食品に加工したものだ。
その過程で様々な風味がつくため、味の好みが大きく分かれる食品でもある。
長期保存を目的とした加工であるため、各国で様々な食品が存在しており、中には正気を疑うような製法のものも存在する。
今回はその漬物用の壺が出てきた話だ。
それはエリスさんと気持ちよくなるお薬撲滅のための計画を詰めている時に起こった。
街の至るところに存在する商会の倉庫。
それの内側から膨れ上がるように、巨大な化け物が3体も出現したのだ。
まるで魔物を練り合わせて作り上げたようなその怪物は邪神の似姿と言っても信じられるだろう。
それほどまでに、歪でありながらその化け物たちは似通っていた。
その大きさ、おおよそ12メートル。
捻じくれた角を持つヤギの頭部を持っていて、体は複数の魔物をパズルのように組み合わせて作られている。
出現したと同時にその体から黒い霧のようなものを吹き出し周囲の人々の生命力を吸い上げているようだ。
その証拠に、霧を吸った人々は呼吸困難で苦しんでいるようには見えず、疲労で倒れたかのように動かなくなっていく。
これから対処しようと思っていた案件が突如爆発して大惨事を引き起こしている。
一手、二手遅かったのか、あるいはそもそも初めから間に合っていなかったのかは微妙なところだ。
この脅威に……兄は。
倒せ、と。
その命を受けた
同様の動作を残りの
まるで畑でも耕すかというノリで上半身を吹き飛ばされる化け物たち。
いや、まあ、そうね。
現在レベルが7万を超えてる機神のバックアップを受けてる
上半身を吹き飛ばされて動かなくなった下半身だけが街に残っていた。
吐き出された黒い霧も風に乗って薄まっていく。
さぁて。
私はガチャを回してしまうか。
R・瞬間漬物壺
出現したのは蓋付きの壺だった。
壺の平均的な大きさなどはいまいちわからないが、とりあえず中に水が1リットルほど入りそうな大きさの壺である。
その色は典型的な壺らしく茶色であり、特に装飾は存在しない。
で……瞬間漬物。
字面を見るに、一瞬で漬物が出来上がる、というもののように思える。
書かれている以上、多分そうなんだろう。
なのでとりあえずきゅうりを持ってきてみた。
そっと布に乗せて壺の中に入れてみる。
そして蓋を閉じて……開けて覗いてみた。
そこには糠まみれになったきゅうりと、同じく糠まみれになった布が入っていた。
……いやこの挙動、ついこの間も見たぞ!?
ポテチ調理器の亜種じゃねーか!
なおきゅうりの漬物の味は内側までしっかり漬かっていてとても美味しかったです。
一緒に入れた布は糠の色で完全に染まってしまって、臭いが落ちないので捨てた。
後日。兄が牛肉のブロックを投入した。
結果、どのような過程で調理されたのか一見分かりづらい熟成肉に変化した。
なにかの成分に漬けこまれていたように見えるが、それがなんなのかはわからない。
ハムのように塩や香辛料を擦り込んでいるようにも見えるが、それにしては表面が真っ黒である。
それに断面もしっかりなにかに漬かっているようで、その色味は鮮やかなまでのピンク色。
牛肉だったとは思えないほどの色合いである。
なお焼いて食った兄の感想はというと。
異星の動物の肉でも食っているかのようだ……。
だった。
歯ごたえが牛肉のそれではなく、ねっとりとした舌触りなのもそれを加速させている、そうだ。
漬物だって言ってるのになんでこの人牛肉を投入したんだ……。
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