R ポップコーンメーカー
ポップコーン。元を辿ればネイティブアメリカンやメキシコの先住民たちが食べていた主食である。
紀元前3600年頃にはすでに存在していたらしく、遺跡からポップコーンの痕跡が見つかっているほどだ。
現在のように菓子として食べられるようになったのは19世紀後半で、その頃は糖蜜を掛けて甘くしたものであったそうだ。
現在の塩味が主流になったのは世界恐慌時代に、すべてのものが値上がりした中で塩味のポップコーンだけあまり値上がりしなかった事から来ている。
今回はそのポップコーンを作る機械が出てきた話だ。
外から見れば山が歩いているような威容であるし、それは頂上にあるテラスから見える景色も山の頂上のそれに等しいほど高く広い。
当然それは頭部として据え付けられた
一体何と戦うつもりなのかと言いたくなる超巨大なサイボーグである。
その見た目に相応しいだけの演算力も備えているらしく、これまでに出来なかった作業も可能になっている。
具体的にはアトリエの本の翻訳と技術研究だ。
そして視線を反対側に向ければ、尾のようなパーツが掴んでいる塔のような建物。
よく見ると頂上に当たる部分が発掘ダンジョンの入口と同じなのだ。
ダンジョンの上層がすでに侵食済みである事を利用して強引に引っこ抜き、半端に融合させた結果だそうだ。
これで下層の攻略に取り掛かれる、と兄は言っていたが、下層攻略のためにここまでしてしまうのか。
発掘ダンジョンを破壊しなかっただけマシだと言うべきなのか。
疑問は尽きない。
が、兄のやることにいちいち疑問を覚えていると疲れるので忘れよう。
そちらのほうが健康にいい。
というわけで、思考を切り替えてガチャを回す。
R・ポップコーンメーカー
出現したのは、祭りや個人商店の入り口、テーマパークなどにたまに置かれているポップコーンを量産するタイプの筐体調理器だった。
ガラス張りの箱の中に、銀色の小さな鍋が浮かされ、鍋の中でポップコーンの種が加熱されて弾けたものだけが出てくる構造のものだ。
ぱっと見た感じではUFOキャッチャーのようにも見えなくもない。
とりあえず電源をいれてみるか。
私の部屋から雑に引かれている延長コードのタップ穴にポップコーンメーカーのコンセントを接続。
そして電源スイッチを入れると、まだ中になにも入れていないのにも関わらずポコポコとボップコーンを生産し始めたのだ。
電源を入れる前に何も入っていないことを確認したはずだが、ポップコーンと思しきものが放出されているのだ。
おかげで持ってきたポップコーンの種が無駄になってしまった。
というかこの無から生産されたポップコーンは食べても大丈夫なやつなのだろうか。
うーむ。
見た目におかしなところはないし、匂いも良く火が通ったポップコーンのものだ。
ちぎってみたが中身も普通のポップコーン。
うーむ。
兄に食べさせるか。
後日。兄がポップコーンメーカーの釜にコーンポタージュの粉を投入した。
あのあと兄にポップコーンを食べさせてみたが、その感想は味がしない、だった。
なんと全く味付けがなされておらず、塩すらかかっていなかったのだ。
いや普通作られたばかりのポップコーンには味がついていないのが当然だが、このポップコーンはそもそも無から生成されたもの。
味がついているかもしれないと考えるのは普通のことではなかろうか。
そこで兄が取った行動は、何も入っていないポップコーンメーカーの鍋にコーンポタージュの粉を投入することだった。
粉だけを投入して起動したポップコーンメーカーは、黄色く染まったポップコーンを生成。
兄の目論見通りコーンポタージュ味のポップコーンを生成したのだった。
その後また肉まんを投入しようとしたので止めるのに手こずった。
すぐ肉まんを投入しようとするのやめろォ!
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