R マイバッグ

 マイバッグ。レジ袋がエコではないという話を受けて、買い物に持ち込むと様々なポイントがついていた袋だ。

 7月頭でのレジ袋有料義務化に伴い、これから一気に普及するとは思うが、衛生面などやや疑問が残る。

 パン類や菓子類など、きちんと包装された物ならば良いが、肉類や野菜類などの包装が完全でないものの汁気などがどんどんマイバッグなどに吸われてそれが雑菌の温床になる可能性が高いのだ。

 最もむやみにレジ袋を使用しないで済むのならそれに越したことはない。

 レジ袋は適切に焼却処理されなければ海に流れ、マイクロプラスチックとなって環境を汚染するためだ。


 今回はそのマイバッグが出てきた話だ。

























 兄が成分抽出器と生命力吸収装置の組み合わせによって、生命力の原液と呼ぶべき得体のしれない液体を作り出すことに成功していた。

 この液体は想像を絶するほどの生命力が込められており、わずか数滴地面に落とすだけでその場からメキメキと目に見える速度で植物が生え出すほどだ。


 この生命力の原液と液体経験値を錬金術士のアトリエの釜で調合することで生物の存在位階を一段階引き上げる進化の秘薬を作り出せる、と兄はのたまうのだ。

 なんでもそんな感じのレシピが見つかったそうなのだ。

 まじかい、と思ったが渡された翻訳済みのレシピを見るに事実のようである。


 流石に代替材料なため大量に量が必要なようだが……。

 作って何をするつもりなんだ兄……。


 まあいいか。

 どうせサメ機人シャークボーグを強化するだけだ。

 もうすでに十分に強力であるように感じるが、兄がそこで終わりにするわけがない。

 強くできるならより強くする、そういうロマンの中で生きているわけだからな。


 ガチャを回してしまおう。


 R・マイバッグ


 出現したのは青い布で作られたバッグだった。

 簡単に折りたたみ、カバンの底に入れやすいように柔らかくて薄く丈夫な素材でできている。

 大きさは肩に掛けて邪魔にならない程度だ。

 マイバッグとしては一回りほど小さいか……?


 そして開いてみた中身だが、光でも吸収しているかのように暗い。

 びっくりするほど暗い。

 影になっているのかと陽光が中に入るようにかざしてみたがそれでも暗いのだ。


 なんだ……?

 なんで暗くなってるんだ?

 それに風も流れ込んでいるような気がする。


 うーむ。

 とりあえず手元にあるこのコップをバッグの中に入れてみることにする。

 するとだ。

 コップが透けていって、やがて消えてしまったのだ。

 取り出そうとしても手応えもなし。


 入れたものを呑むマイバッグって何に使えるんだ。

 ゴミ箱か?

























 後日。兄が色んなものをマイバッグの中に投入した結果、その全てを飲み込み最終的に中に見たこともない物が出現していた。

 それは金属の箱のような物であり、銀色のボディが光にかざされると虹色に輝く。

 そして箱の中身には、その金属の箱と同じ材質の金属の塊が。


 キラキラしてきれいな金属だが、これは一体。

 というかマイバッグから出てきていいものなのか?


 案の定兄はこれを加工、とりあえずと言わんばかりに剣を作っていた。

 まるでプラスチックのように軽く、紙のように加工しやすく、ガラスのように透き通って美しい素材を利用した剣は、使い勝手がいいらしく兄がワクワクした顔で振り回していた。


 危ないからやめようか。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る