R 台車
台車。主に荷物を載せて運搬するための車輪がついた台である。
取っ手がついていて手動で動かすものから、車のような物に引っ掛けて引っ張って運ぶもの、引越し業者が使う板に車輪がついているだけのものなど、様々なタイプが存在する。
最近の台車は車輪が大きくなっており、より楽に動かせるようになっている。
技術革新は人からあまり見えないところにも恩恵があるものだ。
今回はその台車が出た話だ。
夢の中での調査と、飛行隊による調査との組み合わせによって、兄は23層から先に進むための道を見つけ出した。
夢の中とやはり同じ位置に下の層へと降りる階段があったのだ。
しかしそれでは終わらない。
まだ宝の地図の座標を調べていないのだ。
夢の中に宝の地図を持ち込む事はできないため、夢の中から調べるには正確な情報を集められない。
調査しようにも、今度は宝の地図自体に暗号が仕掛けられているらしく、その解読に時間を使っている。
どうも、時間経過で島が移動して仕掛けが起動する作りのようだが……。
力技で島を動かせるわけではないので謎を解くしか無い。
何日かかるかな。
何日おとなしくしてるかな。
まあ兄のことは置いておいて。
ガチャを回しておこう。
R・台車
出現したのは台車だった。
一般的な取っ手がついているタイプの台車で、荷台の部分には緑色の滑り止めが貼られている。
そしてやや小さめの車輪が若干古い作りであることを物語っている。
台車かぁ。
兄が荷台に乗って走り回った結果、車輪を破壊していた思い出しか無い。
あとは倉庫から荷物を取り出すのに使っていたような気がする。
……あれ? 私の家には台車を使うような倉庫はなかったはずだが。
記憶違いか?
しかし、これはガチャから出てきた景品。
まともに荷物を載せていいものだとは思えない。
そう思って取っ手に手をかけた時だ。
突如として台車が走り出す。
それに速度に合わせて私の身体が浮かび上がったのだ。
台車がものすごい速度で走り出したから身体が浮かび上がった、のではない。
台車の速度に関わらず、すごい速度で走っているように見えるように身体が浮かび上がっているのである。
事実台車の速度は自転車で走る程度の速度でしか無い。
身体が浮かび上がって、速度を感じるような勢いの風を感じているのに台車はとろとろと前に進んでいる。
それに取っ手をハンドルのように切ると自由自在に動かせるようだが、そんな余裕はない。
これどうやって降りるんだ?
片手を離すと台車は止まり、身体もゆっくりと降りていった。
なるほど、両手で掴むと走り出すのかこれ……。
台車としてどうなんだ。
後日。兄が台車の荷台に体育座りしていた。
その状態で台車は兄の命令を受けているかのようにゴーカート並みの速度で走っている。
なんでそんな自由に操作できるのかもよくわからない。
後から私も試してみたがそんなに上手く動かせなかったのだ。
どういう方法を使ったんだ。
あ、荷台に荷物を乗せると今度は台車は動かなくなった。
台車としても使えないのかよ。
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