SR 自動販売機

 自動販売機の歴史は意外に古い……というか、すでに古代エジプトには存在したらしい。

 古代エジプトに存在した自動販売機は、投入されたコインの重さを使って動作していて、それによって蛇口から水が出るという仕組みだ。

 とはいえ、これは単一の液体しか販売することが出来ない。

 この単一の物しか販売できないという問題は自動販売機の歴史にかなり長い間つきまとう。

 複数種類の商品を扱う、という点に置いてもどのように選択させるかで問題が出るし、また値段の差と通貨をどうやって認識するかという問題もある。

 幾重にも様々な機械が作られ、ガチャポンマシンもこの流れの中で誕生した機械だ。

 そこから自動販売機が複数種の商品を異なる価格で販売できるようになったのは1925年だ。

 さらにそこから紆余曲折の末、現在の形になっている。


 今回はその自動販売機が出現した話だ。












 実は現在実験室内には、4種類の通貨が存在する。

 1つは、ヒヒイロカネを切り出した鉄板。ガチャを回せるのでここでは通貨扱いしているが、ただの金属コインだ。

 2つ目に、湧きスポットから湧いたスライムを倒した時に出る金貨。NPCのおっさんが受け付けてくれない上、ガチャにも入らないので本当にただのゴミである。せめて鋳潰せれば金としておっさんに売れるのだが。

 3つ目に、NPCのおっさんに物を売った時に代金としてもらえる通貨だ。ちなみに紙幣だ。使えるからいいが、得体のしれない絵が書かれた紙でしかない。

 4つ目は、発掘したダンジョンのスケルトンを倒すと落とす金貨だ。これが湧きスポットで手に入る通貨ともデザインが異なる。これもNPCのおっさんが受け付けてくれないことがわかっている。ガチャに使えるかは不明。


 発掘したダンジョンの金貨は、サメ妖精のシャチくんが食べるので、餌用に兄が確保している。だからガチャに回す分が回ってこないのだ。

 まあヒヒイロカネコインはクッキー型で作れるので別にいいのだが……。


 しかしガチャからここのところ重量級の出現が多い。

 動かせない物はそこまで多くないのでマシだが、兄でも動かせない物は本当に邪魔になるので困る。

 とか考えていると重量級が出てくるのだ。


 SR・自動販売機


 ほら出た。

 そいつはテラスから出たすぐ脇に陣取る。テラスからの眺めといったものをまるっきり無視して。

 見かけはコーラを主軸に売っているドリンクベンダーの自販機そのものだ。

 日本でそこらじゅうで見る赤い自販機だ。

 ディスプレイにプラで作られた缶ジュースのモックアップが掲示されている。


 ……しかし、なんなんだこの並んでいるジュースの異様なラインナップは。

 試作品もかくや、というべきか、とにかく思いつきを形にしました! みたいな名称のジュースばかりが並んでいるのだ。

 サイダーのレタス味とか誰が飲むんだ。web上じゃパクチー味で大惨事になってたぞ。

 ミネラルウォーターの食べるラー油味とかすごくない? 食べる要素が全損してるじゃん。

 同じミネラルウォーターでも隣の「霞」の方がまだマシそうだ。


 試しに、パイン・コーラを買って(なお通貨は日本円)飲んでみた。


 不味い! コンペ落ち!










 後日。兄が自販機から謎の瓶ポーションを買い、サメもどきに飲ませていた。

 なんでポーション!? そんなファンタジーな商品並んでなかっただろ!?

 と思ったのだが、実はこの自販機は投入通貨によって商品が入れ替わるのだ。 

 ということは。

 今、実験室内には4種類の通貨が存在する。

 そして、無限に飲ませても問題ない実験体であるサメもどきがいる。


 兄の総当りに付き合わされ、貴重な休日を無駄に使わされるはめになった。

 有用そうな強化ポーションが3種類、飲むと自爆するポーションが2種類、強烈に弱体化するドリンクが1種類、etc、etc……。


 なお、その時に休憩がてら飲んだ霞は飲んだ気がしない味の水だった。

 これならいくらでも飲めるな。130円もするが。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る